Nrps−pks遺伝子群ならびにその操作および有用性
专利摘要:
本発明は、(a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列;または(b)配列番号1の相補体であるヌクレオチド配列;または(c)配列番号1が縮重したヌクレオチド配列;または(d)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性(好ましくは、少なくとも87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列;または(e)(a)〜(d)のいずれか1つの一部:を含む核酸分子を提供するものであり、該核酸分子は、1以上のポリペプチドをコードする核酸分子をコードするか、もしくは、1以上のポリペプチドをコードする核酸分子と相補的であるか;または1以上の遺伝因子を含む核酸分子を含むか、もしくは、1以上の遺伝因子を含む核酸分子と相補的であり、ポリケチドをベースとした分子またはマクロラクタム[macrolactam]分子の合成に機能的な活性を有する。特に本発明は、このポリケチドのマクロラクタムであるBE−14106を合成する生合成機構をコードする、本発明に係る核酸の修飾を意し、この修飾核酸分子を微生物中で発現することを含むものである。この修飾の態様として、該核酸分子にコードされた1以上の活性またはタンパク質をコードする配列を、導入すること,突然変異すること,欠失すること,置換すること,または失活することが挙げられる。本発明の他の態様は、修飾核酸および非修飾核酸を含有する微生物を含み、該微生物から上記のポリケチドをベースとした分子またはマクロラクタム分子を回収することも含むものである。なし 公开号:JP2011515086A 申请号:JP2011500293 申请日:2009-03-20 公开日:2011-05-19 发明作者:トロンド,;アーリング エリングセン,;ゲイル クリンケンバーグ,;アンナ ジョルゲンセン,;ハヴァード スレッタ,;セルゲイ ゾトシェフ,;クリスティン,;フロッグスタッド デグネス,;エスペン ファエルヴィック,;パー ブルハイム, 申请人:シンヴェント エイエス; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] 本発明は、ポリケチドのマクロラクタムであるBE−14106を合成する生合成機構をコードする遺伝子群のクローニングおよびシークエンシングに関し、この生合成機構は、非リボソーム性ペプチドシンセターゼ酵素(NRPS)アデニル化ドメインとモジュール型のポリケチド生合成酵素または酵素複合体(PKS;ポリケチドシンターゼ酵素もしくは酵素複合体)との両方を含む。生合成機構には、このようにNRPS−PKSハイブリッド酵素系が含まれる。従って、本発明は、マクロラクタムであるBE−14106を合成する生合成機構をコードする新規な遺伝子および核酸分子に関し、この生合成機構は、BE−14106の生合成に関与するモジュール型のNRPS−ポリケチド生合成酵素または酵素系を含み、モジュール型のNRPS−ポリケチドシンターゼ酵素系または複合体それ自体(その成分も同様)を含む。本発明は、さらに、BE−14106生合成の促進と、BE−14106誘導体および新規なマクロラクタム構造物の合成との両方における、これらの遺伝子,核酸分子,このような機構,酵素および酵素系またはその複合体の使用に関する。] 背景技術 [0002] ポリケチドまたはポリケチドをベースとした構造物もしくはポリケチドに関連した構造物は、細菌,菌類,植物および動物に合成される天然物であるか、あるいはその天然物のベースを形成するものであり、その多くが、例えば、抗生物質,抗菌類,細胞分裂阻害薬,コレステロール低下薬[anticholesterolemics],駆虫薬,抗コクシジウム薬[coccidiostatic],動物の成長促進剤および天然殺虫剤など、医薬として、または農薬もしくは動物薬として利用する可能性があるものである。] [0003] グラム陽性菌であるストレプトミセス属[Streptomyces]は、ポリケチドおよびポリケチドをベースとした分子の主要生産者であり、これら微生物におけるポリケチド生合成は、遺伝学および生化学によって比較的よく特徴付けられている(McDaniel R.ら; Chem Rev. 2005 Feb;105(2):543-58)。] [0004] 他の生産者として、他の放線菌類が挙げられる。種々の広範なポリケチドをベースとした分子(またはポリケチドに関連した分子)は公知であり、マクロラクタムはこれら分子の1つのクラスを表す。マクロラクタムであるビセニスタチンおよびサリニラクタム[salinilactam]を合成する生合成遺伝子群は、それぞれOgasawara Y.ら; Chem Biol. 2004 Jan; 11(1):79-98、およびUdwaryら; Proc Natl Acad Sci USA 2007 Jun 19; 104(25):10376-81に報告されている。] [0005] BE−14106(代替名はGT−32A)は、図1に示す化学構造を有するマクロラクタム抗生物質である。BE−14106は、ストレプトミセス・スフェロイド[Streptomyces spheroides]の菌株から単離され、広範な試験生物に対する抗菌作用やH−ラスで形質転換されたBALB3T3株化細胞に対する増殖抑制作用および混合リンパ球反応に対する阻害作用と同様に、白血病細胞株に対する細胞傷害効果を有することが示されている(JP4001179;Kojiriら 1992 Journal of Antibiotics, 868-74;Takahashiら 1997, Journal of Antibiotics 186-8)。8−デオキシ類似体(GT−32B)も、詳細不明であるがストレプトミセス種から単離され、BE−14106の活性の多くを共有していることが示されている(Takahashiら, 上記を参照)。] 図1 [0006] BE−14106のようなマクロラクタム化合物は、活性化されたアミノ酸を用いたPKS系の活性化およびプライミング,ならびにポリケチドシンターゼ(PKS)によって単純なカルボン酸の縮合を繰り返すことによるアミノ酸残基(アミノアシル鎖)の伸長を通して、脂肪酸生合成と似たやり方で形成することができる。従って、「スターターユニット」がカルボン酸残基である、単純なポリケチド鎖についてのケースとは異なり、このケースでは、PKSのスターターユニットが、アミノ酸およびアシル鎖から合成されたアミノアシル中間体である。周期的にドメインを再利用する反復型PKSとして、または、一連の独立したモジュール(または繰り返しユニット)を含み、ドメインを再利用しないモジュール型(I型)PKSとして、PKSは体系化できる。各モジュールは、ポリケチド鎖を合成する縮合サイクルの1つに関与し、様々な酵素ドメインを含む。BE−14106の場合、「ポリケチド」鎖は厳密に言うと、ハイブリッドアミノ酸−ポリケチド鎖(またはアミノアシル鎖)であるが、本明細書では「ポリケチド鎖」と称す。このように、成長するポリケチド鎖に次のカルボン酸を縮合するドメイン(β−ケトアシルシンターゼ(KS)ドメインによって触媒される)に加えて、I型PKSのモジュールは、β−ケトレダクターゼ(KR)活性,デヒドラターゼ(DH)活性またはエノイルレダクターゼ(ER)活性を有するドメインを含んでもよく、これらのドメインによって、取り込まれた伸長ユニットの還元状態が決定される。各モジュールに存在するアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメインおよびアシルキャリアタンパク質(ACP)ドメインはそれぞれ、伸長ユニットの選択およびPKSの成長するポリケチド鎖の保持に関与している。合成が完了次第、ポリケチド鎖は、チオエステラーゼ(TE)の働きによって、PKSから放出される。このTEは最終産物の環化にも関与していると思われる。このように、I型PKSは、ポリケチド生合成の組立ラインに相当するものであり、モジュール数(カルボン酸に対するこれらの特異性)を変えることによって、そして還元能を有するドメインを失活させるか、または挿入することによって、組立ラインを操作することができる(Weissman および Leadlay, Nat. Rev. Microbiol. 2005 Dec;3(12):925-36)。ポリケチド部分が、マクロラクトン環(またはマクロラクタム環)を形成するよう合成および環化された後、ポリケチド部分は、ヒドロキシル化,グリコシル化,メチル化および/またはアシル化によって修飾されてもよい。これらの修飾は、ポリケチドがベースとなった特定の産物の生物活性に重要となるかもしれない。以下でさらに詳述するが、本発明に至るまでの研究において、BE−14106のNRPS−PKS酵素系をコードする遺伝子(BE−14016「遺伝子群」)をクローン化し、シークエンシングして、そしてこのBE−14106のNRPS−PKS酵素系がいくつかのI型PKSを含み(それぞれモジュール式で体系化される)、繰り返しユニット(モジュール)で構成されていることを究明した。] [0007] ストレプトミセスにおいてポリケチドを生合成する遺伝子は通常、いくつもの群れをなして体系化され、このような群れの多くは既に同定されており、様々な天然物の生合成に関与している。ストレプトミセスのいくつかのマクロライド系抗生物質(アベルメクチン,ピクロマイシンおよびラパマイシンが挙げられる)遺伝子群の分子クローニングおよび完全なDNAシークエンシングは文書化されている(Ikeda H., Omura S. (2002). Biosynthesis, Regulation , and Genetics of Macrolide Production. In: Macrolide Antibiotics: Chemistry, Biology and Practice, 2nd Ed. (ed. S. Omura), pp. 286-326,アカデミックプレス社,ニューヨーク)。上記のとおり、特定のマクロラクタム抗生物質の生物系のための遺伝子群も報告されている。] [0008] JP4001179] 先行技術 [0009] McDaniel R.ら; Chem Rev. 2005 Feb;105(2):543-58 Ogasawara Y.ら; Chem Biol. 2004 Jan; 11(1):79-98 Udwaryら; Proc Natl Acad Sci USA 2007 Jun 19; 104(25):10376-81 Kojiriら 1992 Journal of Antibiotics, 868-74 Takahashiら 1997, Journal of Antibiotics 186-8 WeissmanおよびLeadlay, Nat. Rev. Microbiol. 2005 Dec;3(12):925-36 Ikeda H., Omura S. (2002). Biosynthesis, Regulation , and Genetics of Macrolide Production. In: Macrolide Antibiotics: Chemistry, Biology and Practice, 2nd Ed. (ed. S. Omura), pp. 286-326,アカデミックプレス社, ニューヨーク] 発明が解決しようとする課題 [0010] 上記のように(下記にもあるが)、本発明は、これまで利用されていなかったBE−14106を生合成する新規な遺伝子群の同定,クローニングおよびシークエンシングに基づく。さらに、クローン化された遺伝子を解析することで、BE−14106の生合成経路を解明することができた。従って、BE−14106の通常の生合成工程が、アシル部分がプロプリオナート[proprionate]1個およびアセテート2個のユニットから合成される、スターターユニット(C17〜C25)の合成から開始されることがここに提唱される。スターターユニットの合成は、NRPSアデニル化ドメインによるグリシン分子の活性化と、この活性化グリシンのペプチジルキャリアタンパク質へのローディングによって続けられる。グリシンが酸化的脱アミノ化されるとアンモニウムが放出される。これは、C−17カルボニル基への求核攻撃を起こしてC−17イミノ基が形成され、このC−17イミノ基はその後アミノ基まで還元される。ペプチジルキャリアタンパク質からアミノアシル鎖が解放された結果、カルボン酸が形成され、その後アデニル化され、コエンザイムA(CoA)に結合する。このように活性化されたアミノアシル−CoAは、アシルトランスフェラーゼによってPKSのACPドメインに運搬され、以下でさらに詳述するようなPKS系酵素の一連の作用によって伸長され、修飾される。各モジュールのβ−ケトアシルシンターゼ(KS)酵素ドメインは、アシルトランスフェラーゼ(AT)モジュールによって決められた適切なカルボン酸(例えば、アセテートやプロピオネート)の縮合を触媒する。β−ケトレダクターゼ(KR)活性またはデヒドラターゼ(DH)活性を有する酵素ドメインは、取り込まれた伸長ユニットの還元状態を決定する。] [0011] BE−14106のC20〜C25炭化水素側鎖は、スターターユニットの一部から構成され、マクロラクタム環の環化に起因する。最後に、マクロラクタム環がヒドロキシル化によってさらに修飾される。] [0012] BE−14106の生合成遺伝子群には、様々な調節因子および合成された分子を運搬するタンパク質もコードされているか、または含まれている。] [0013] このような化合物の化学合成は高度に複雑であるから、実際には、生合成経路を用いる必要があり、従って、適切な宿主からこれら化合物を単離または精製することが望ましい。このことは、当該分野で認識されているように、生合成を変化させて、それによって新規のもしくは修飾されたポリケチドまたはポリケチドがベースとなった化合物を合成させるために、PKS遺伝子群の遺伝子を操作する機会が生じる。様々な新規化合物の合成をもたらす多くのPKS遺伝子群の修飾が記載されているが、利用可能な化合物(特に抗生物質)のレパートリを増やし、および/または、存在する薬物の特性(例えば、有効性,毒性,水への溶解性など)を向上する必要性ならびに願望は依然存在する。本発明は、これらを目的とし、BE−14106の生合成遺伝子群のクローニングおよびDNAシークエンシングに基づく。本発明は、BE−14106の発現レベルもしくは特性および/または産生微生物を修飾するため、あるいは役立つかもしれない新規の化合物を得るための、遺伝子操作するツールとともに、これら抗生物質の生合成遺伝子の最初の配列を提供するものである。この点で、抗生物質であるBE−14106は公知であるが、ストレプトミセスで合成されるポリケチドをベースとした複数の分子および対応する複数の生合成遺伝子群を背景として、BE−14106のための的確な遺伝子群を同定しクローン化することは容易なことではない;配列解析およびプローブの設計または選択に関して相当な努力および創意工夫を必要とした。] 課題を解決するための手段 [0014] 本発明者らは、今まで知られていなかった供給源である細菌の分離株MP28−13からBE−14106を単離し精製した。この分離株は、ノルウェイのトロンヘイムのフィヨルドで浅瀬の沈殿物から単離されたストレプトミセスの新規な株(2008年1月25日に、寄託番号DSM21069の下、ドイツ微生物・細胞培養コレクション(DSMZ)に寄託した)であると考えられた。本発明者らがこの新規な微生物を単離したことによって、BE−14106のすべての生合成遺伝子群をクローン化しシークエンシングすることが可能となった。この群は、BE−14106分子の生合成に関与していると推定されるタンパク質をコードする22個の遺伝子を含む(表1を参照)。] [0015] このクローニングを実施するために、ケトシンターゼ(KS)ドメインの一部をコードする配列に相当し、特別に設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを、分離株であるMP28−13からKSドメインのコード領域を増幅するために用いた。一旦、増幅された配列が得られ特徴付けられると、複雑で広範囲に及ぶ生物情報分析に基づき、それら配列の1個をプローブとして選択した。このプローブを用いて、MP28−13を構築するゲノムライブラリをスクリーニングした。すべての生合成群を提供するために、このようなやり方で同定されたコスミドを分析し、シークエンシングした。図2Aおよび2Bに示すように、配列すべてに注釈を付け、BE−14106を生合成する2つの部分経路を解明した。アミノアシル・スターターユニットの生合成経路のうち第一の部分を図2Aに示し、アミノアシル鎖の伸長,マクロラクタム環の形成をもたらす環化およびPKS後修飾に係る第二の部分を図2Bに示す。このように、モジュールのPKS後修飾に係る酵素,この経路の調節に係るタンパク質,および抵抗性タンパク質/排出タンパク質とともに、アミノアシル鎖を合成するPKSおよび他の酵素もしくはタンパク質を含む最初の酵素系または複合体、ならびにアミノアシル鎖を伸長する追加のPKS酵素系または酵素複合体をコードする、BE−14106を生合成する遺伝子群を提供する。] 図2A 図2B 発明の効果 [0016] この配列についての知見に基づき、ストレプトミセス種であるMP28−13の遺伝子操作方法を開発した。このようにして、新規配列が実際にBE−14106の生合成に関与していたことを示すことができた。] [0017] さらに、下記で詳述するが、同定された新規生合成遺伝子群内の機能的DNA配列を操作することによって、例えば、機能または特性が変更された(例えば、向上した)BE−14106の誘導体または類似体などの新規分子構造物を合成することができる。このように、有益な新規BE−14106誘導体もしくは類似体を得るだけではなく、生合成の産生工程を向上および促進する(例えば、収量もしくは産生条件を向上する、または利用可能な宿主細胞の範囲を広げる等)、より好ましくは、新しい活性および/または特性を有する新規化合物を提供するよう、BE−14106遺伝子群を操作することができる。] 図面の簡単な説明 [0018] 図1は、マクロラクタム抗生物質であるBE−14106の化学構造を示す。 図2Aは、提唱されている、BE−14106の生合成経路の開始を示し;図2Bは、提唱されている、BE−14106生合成の終了を示す。] 図1 図2A 図2B [0019] BE−14106の生合成遺伝子群に係る完全なコード配列(すなわち、BE−14106の生合成遺伝子群をコードする完全なヌクレオチド配列)を配列番号1に示す。配列番号1は、多くの遺伝子またはORFを含むことを示し、それらは、BE−14106生合成に必要とされる活性に関与する様々なタンパク質およびポリペプチドをコードする。] [0020] 生合成遺伝子群は、BE−14106の正常な生合成に必要なタンパク質およびポリペプチドのすべてをコードすると考えられる遺伝子およびORFを含む。しかしながら、コードされるタンパク質およびポリペプチドのすべてがこの生合成での役割を担うわけではないから、コードされるこの群のタンパク質およびポリペプチドのすべてがBE−14106の生合成に必須であるというわけではないかもしれない。様々な遺伝子およびORFは、1以上の生化学反応を触媒する酵素、または触媒活性がない代わりに他の工程(例えば、BE−14106合成もしくはBE−14106輸送の工程の調節など)に関与するタンパク質をコードしてもよい。] [0021] この酵素のいくつかはポリケチドシンターゼ(PKS)であり、これらPKSの多くは酵素複合体を形成するため物理的に結合することができることはあり得るが、このことはまだ立証されていない。このような群または一連の酵素は、本明細書において、ポリケチド生合成酵素系もしくは複合体またはPKS酵素系もしくは複合体と称されるが、この系/複合体における酵素/タンパク質のすべてが実際のポリケチドシンターゼである必要はない、すなわち、該酵素/タンパク質のすべてがポリケチドシンターゼ活性を有するわけではない;それらがBE−14106合成で他の活性または機能的役割を有していればよい。例えば、非リボソーム性ペプチドシンセターゼ(NRPS)の別のアデニル化ドメイン(BecL)は、この群にコードされる他の付属タンパク質のいくつか(例えば、BecJ,BecS,BecU等)とともに、アミノ酸(グリシンであると推定される)を活性化し、さらなる伸長のためにいくつかのBE−14106のPKSモジュールの1つにローディングすることによって、BE−14106を生合成するためのスターターユニットの合成に関与する。BecOなどのような他のタンパク質はマクロラクタム環のC−8をヒドロキシル化する。このようなNRPSドメインおよびPKS酵素を含む群または一連の酵素は、ハイブリッドNRPS−PKS酵素系または酵素複合体と称することができる。この遺伝子群全体にコードされるタンパク質およびポリペプチドの一群は、BE−14106を生合成する生合成機構として集合的に称される。] [0022] このように、本発明の1つの態様は、下記(a)〜(e): (a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列;または (b)配列番号1の相補体であるヌクレオチド配列;または (c)配列番号1が縮重したヌクレオチド配列;または (d)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性(好ましくは、少なくとも87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列;または (e)(a)〜(d)のいずれか1つの一部を含む核酸分子を提供するものであり、該一部は、BE−14106生合成遺伝子もしくはオープンリーディングフレーム(ORF)に対応する配列、またはそれと相補的な配列もしくはそれが縮重した配列を含むことが好ましい。] [0023] より具体的には、このような核酸分子は、1以上のポリペプチドをコードする(もしくはコードするヌクレオチド配列を含む)、または1以上の遺伝因子を含み、ポリケチド分子もしくはマクロラクタム分子の合成(より具体的に、BE−1406もしくはその誘導体、またはBE−1406に関連した分子の合成)に機能的な活性を有し、あるいはこのような核酸分子の相補体である。このような機能的な活性は、例えば、ポリケチドまたはマクロラクタム分子の合成または輸送または運搬に関与する活性(これは、ポリケチド鎖もしくはマクロラクタム環の合成またはこれに寄与する任意の段階、あるいはマクロラクタム環またはポリケチド鎖の修飾等であり得る)などの酵素活性であってもよく、および/または、このような機能的な活性は、例えば、上記遺伝子の発現(例えば、転写制御因子)もしくは合成に関与するタンパク質の調節や合成工程の調節などの調節活性であってもよく、および/または、このような機能的な活性は、「輸送体活性」であってもよい。このように、ポリケチド部分またはマクロラクタム部分の運搬または輸送に関与する輸送タンパク質、例えば、合成された分子の細胞内でのもしくは細胞外への輸送または排出に関与する輸送タンパク質も、通常含まれる。] [0024] 所望する産物をコードするヌクレオチド配列は本発明に従って好ましい一方、プロモータ,プロモータ−オペレータ領域,エンハンサや他の調節配列などの機能的な遺伝因子を含むヌクレオチド配列も包含される。このように、本発明の核酸分子は、すべてのPKS遺伝子群を含む必要はなく、その部分または一部、例えば、特定の機能または調節配列を有するポリペプチドをコードする一部を含んでいればよい。これは、1以上の遺伝子,および/または調節配列,および/または1以上のモジュールまたは,酵素ドメイン,または非コードもしくはコードする機能的遺伝因子(例えば、遺伝子発現,転写,翻訳などを制御する因子など)を含むことができる。一般的に言えば、本発明の核酸分子は、例えば、BE−14106誘導体や修飾されたBE−14106分子などの、ポリケチドがベースとなった分子もしくはマクロラクタム分子の合成に導く種々の遺伝子および/または調節配列の多くを含むだろう。] [0025] 「BE−14106の生合成遺伝子またはORF」を以下でさらに定義するが、上記(e)項に照らして、簡単には、BE−14106あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の生合成工程で機能するタンパク質もしくはポリペプチドをコードする遺伝子またはORFを意味する。上記のように、これは、出発アミノ酸の活性化,活性化アミノ酸/アミノアシル鎖のPKS酵素への運搬,ポリケチド鎖の生成もしくはその修飾,あるいはこの生合成の任意の段階でこの分子を調節または輸送もしくは運搬するのに必要なタンパク質に関与する酵素であり得るかもしれない。] [0026] 本発明の核酸分子は、単離された核酸分子であってもよく(換言すれば、通常天然から見出される成分から単離されるか、または分離されてもよく)、組換え核酸分子または合成核酸分子であってもよい。] [0027] 本明細書中の他でも述べているが、BE−14106の生合成遺伝子群は、BE−14106分子あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の生合成に必要なタンパク質またはペプチドをコードする種々の遺伝因子または種々の遺伝子もしくはORFを含む大きな核酸分子である。BE−14106生合成遺伝子またはORFはそれぞれ、BE−14106分子あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の生合成で機能する、またはそう考えられている単一のポリペプチド鎖(代わりにタンパク質とも記載することができる)をコードする。このような遺伝子またはORFを22個同定した(表1を参照)。図2Aおよび2Bに示すように、これらのうち14個は、BE−14106の生合成に直接的な役割を担う。以下でさらに説明するが、他の特定のものも、BE−14106生合成に役割を担うと考えられ、提唱されている。このように、例えば、becHおよびMは調節因子をコードすると考えられ、BecLはグリシンの活性化に関与すると考えられ、BecUは、BecCのACPとBecSのPCPとのタンパク質相互作用を仲介すると考えられ、BecNは排出および/または抵抗に関与すると考えられ、BecPはマクロラクタム環の環化を援助すると考えられ、BecQは、BecC−BecU−BecS複合体から、開始アミノアシル鎖を解放すると考えられている。] 図2A [0028] このタンパク質のいくつかは酵素活性を有していることから、酵素であると定義できる。これらの様々な酵素はポリケチドシンターゼ(PKS)であると言うことができる。このような酵素は1個または複数個のモジュールを含み、各モジュールは1〜6個、好ましくは2,3,4または5個の酵素ドメインを含んでおり、各酵素ドメインは、BE−14106分子あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の生合成での種々の活性に関与している。これらPKSの複数の活性部位それ自体は、単一のポリペプチドまたは酵素に存在することがある。] [0029] 例えば、酵素であるBecBは、PKSであり、3個のモジュールを有する;モジュール1(図2B中の「ローディングモジュール」)は、単一の活性部位またはドメイン(ACP)を有し、モジュール2および3(図2B中のModule1および2)それぞれは、KS活性,AT活性,DH活性,KR活性およびACP活性を有する5個の活性部位またはドメインを有する。上記遺伝子群にコードされる他のPKSは、BecA,BecC,BecD,BecG,BecFおよびBecEである。このようなPKSは、多数のドメインを含むことができ、それぞれが、ポリケチドの構造を伸長および/または変更する触媒活性を有する。このポリケチドは、この種々の活性が成長するポリケチド鎖で順次作用するように、このタンパク質を通り過ぎる。上述したように、上記遺伝子群にコードされる様々なPKSは、生合成酵素複合体を形成するために結合することができる。] 図2B [0030] 本発明の核酸分子は、BE−14106分子あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の生合成に関与するポリペプチドまたはタンパク質のいくつか(より好ましくは、すべて)をコードする(または、コードするヌクレオチド配列を含む)。例えば、この核酸分子は、22個の遺伝子もしくはORFのそれぞれを含むことから、表1に示すBE−14106分子の生合成に関与するタンパク質のそれぞれをコードしていてもよく、またはこの核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列の部分もしくは一部(例えば、BE−14106の生合成遺伝子群の単一遺伝子もしくはORFにコードされる単一のタンパク質もしくはポリペプチドをコードする配列など)を含んでいてもよい。例えば、少なくとも11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21個、または2,3,4,5,6,7,8,9,10,11個まで(例えば、1〜21,2〜20,3〜19,4〜18,5〜17,6〜16,7〜15,8〜14,9〜13,10〜12個)の遺伝子またはORFを含む一部を意図している。好ましくは、本発明の核酸分子は、表1に示されるBE−14106分子の生合成に関与するタンパク質のすべてをコードする。あるいは、本発明の核酸分子は、becRおよびORF6の任意の1以上を除いて、表1に示されるORF/遺伝子のすべてを含んでもよい。表1が、特徴付けられている遺伝子またはORFのすべてを示しているから、表1に示されるBE−14106分子の生合成に関与するタンパク質のすべてをコードする核酸分子は、BE−14106の生合成遺伝子群を含む配列として定義することができる。] [0031] 本発明の核酸分子は、このように、BE−14106分子あるいはBE−14106誘導体もしくは類似体またはBE−14106に関連した分子の合成において、その生合成に関与するか、またはその機能的活性を有する1以上のポリペプチドをコードする。あるいは、本発明の核酸分子は、1以上の機能的に等価なバリアントまたはその機能的等価物をコードしてもよい。上記で定義したとおり、本発明の核酸分子は、配列番号1の機能的に等価なバリアントを含んでいてもよく、このようなバリアントは、配列番号1と配列同一性(%)で定義した一部,縮重した配列,またはホモログを含んでいてもよい。このような機能的に等価なバリアントは、上記で定義した機能的活性を有するタンパク質/ポリペプチドをコードする。このような機能的活性は酵素活性、例えば、ポリケチド部分またはマクロラクタム分子の合成または輸送もしくは運搬に関与する活性(これは、例えば、BecA,BecU,BecB,BecJ,BecK,BecS,BecO,BecD,BecG,BecF,BecE,BecT,BecQ,BecP,BecC,BecI,BecLの、鎖もしくは環の合成またはそれに寄与する任意の段階、あるいは生合成の任意の段階での修飾などであり得る)であってもよく、および/または、このような機能的活性は調節活性、例えばBecH,BecMの、合成やその合成工程の調節に関与する遺伝子またはタンパク質の発現の調節などであってもよく、および/または、このような機能的活性は、例えばBecNの「輸送体活性」または抵抗であってもよい。このように、合成された分子の細胞内でのまたは細胞外への運搬,輸送または排出に関与する輸送タンパク質も通常含まれる。1以上のモジュールまたは酵素ドメインをコードする配列も意図する。] [0032] このような分子は、少なくとも200塩基の長さ、より好ましくは、少なくとも、300,500,600,700,800,900,1000,1500,2000,3000,5000,10000,15000,20000,30000,または50000塩基の長さであってもよい。このように、代表的な断片長は、100bp〜18000bp、例えば、100〜3000bp,200〜2500bp,2000〜8000bp,3000〜5000bp,4000〜17000bp,7000〜12000bpや8000〜11000bpの長さの断片を含む。上記のとおり、多くの遺伝子およびORFは、配列番号1の中で同定されており、この遺伝子またはORFを含む一部または断片は、配列番号1の好ましい「一部」または断片を表す。これらを以下の表1にまとめる:] [0033] ] [0034] 上表において、「C」は、このタンパク質が相補鎖にコードされることを示す。] [0035] 上記の配列は、このようにBE−14106の生合成遺伝子またはORFを表す。換言すれば、このような遺伝子/ORFは、BE−14106の生合成遺伝子群の中に見出され、ストレプトミセスのBE−14106生合成における役割を有する、もしくは有すると提唱されるタンパク質またはポリペプチドをコードする。「BE−14106の生合成遺伝子」または「BE−14106の生合成ORF」という用語も、活性または機能を上記のタンパク質と共有する(例えば、本明細書中の他に記載されているような、配列同一性を高いレベルで共有する)タンパク質をコードする遺伝子およびORFを含む。それらは、代わりに「機能的に等価なバリアント」または「機能的な等価物」とも言うことができる。] [0036] 一般に、「遺伝子」という用語は、プロモータなどの任意の調節配列とともに、上記タンパク質をコードするORFを含む一方で、「ORF」という用語は、該タンパク質のコードを担う遺伝子の一部のみに言及する。] [0037] 本明細書中で言及されるように、「機能的に等価なバリアント」または「機能的な等価物」は、例えば、実質的に同じ特性を有するタンパク質をコードするか、または実質的に同じ調節特性や活性もしくは他の機能的特性や活性を示し、それらが関連する(または、それらが由来する)実体の少なくとも1つの機能を保持する。この特性や活性は、当該分野で公知の標準的な技術を用いて試験することができる。] [0038] 所望する産物をコードするヌクレオチド配列(例えば、ORFおよび遺伝子)は本発明に従って好ましい一方、プロモータ,プロモータ−オペレータ領域,エンハンサや他の調節配列などの機能的な遺伝因子を含むヌクレオチド配列も包含する。このように、本発明の核酸分子は、すべてのPKS遺伝子群を含む必要はなく、その部分または一部、例えば、特定の機能または調節配列を有するポリペプチドをコードする一部を含んでいればよい。これは、1以上の遺伝子および/または調節配列を含むことが好ましい。一般に、これより小さいものであり、1以上のモジュールまたは,酵素ドメイン,または非コードもしくはコードする機能的遺伝因子(例えば、遺伝子発現,転写,翻訳などを制御する因子など)をコードするだろう配列も意図する。] [0039] このように、本発明は、配列番号2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38,40,42および44から選択されるヌクレオチド配列(表1に示すような、配列番号1におけるヌクレオチドの開始および終了位置を参照することにより同定される)またはそれと相補的なヌクレオチド配列もしくはそれが縮重しているヌクレオチド配列を含む核酸分子に拡張する。] [0040] 配列番号2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24、26,28,30,32,34,36,38,40,42もしくは44のいずれか1つと少なくとも80%(好ましくは、少なくとも85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%)の配列同一性を示すヌクレオチド配列または該配列と相補的であるヌクレオチド配列もしくは該配列が縮重したヌクレオチド配列を含む核酸分子も提供する。] [0041] 本発明は、さらに、配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45から選択される1以上のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列または該配列と相補的であるヌクレオチド配列もしくは該配列が縮重したヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。] [0042] 配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つと少なくとも80%(好ましくは、少なくとも85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%)の配列同一性を示す1以上のアミノ酸配列(すなわちポリペプチド)をコードするヌクレオチド配列または該配列と相補的であるヌクレオチド配列もしくは該配列が縮重したヌクレオチド配列を含む核酸分子も提供する。] [0043] いずれのケースにおいても、この核酸分子は、本明細書中に定義されるBE−14106の生合成遺伝子またはORFであることが好ましい。] [0044] ヌクレオチド配列同一性またはアミノ酸配列同一性は、任意の簡便な方法で評価することができる。しかしながら、配列どうしの配列同一性の度合いを測定するのには、配列を複数アライメントするコンピュータプログラム、例えば、Clustal Wなどが役立つ(Thompson, J. D et al., 1994, "CLUSTAL W: Improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice". Nucleic AcidsRes 22: 4673-4680)。この目的のためには、ALIGN(E. Myers and W. Miller, 1988, "Optical Alignments in Linear Space", CABIOS 4: 11-17),FASTA(W.R. PearsonおよびD.J. Lipman, 1988, "Improved tools for biological sequence analysis", PNAS 85:2444-2448,ならびにW.R. Pearson, 1990, "Rapid and sensitive sequence comparison with FASTPand FASTA"Methods in Enzymology 183:63-98)やギャップドBLAST(Altschul, S.F.ら, 1997, "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs". Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402)のような、一対の配列を比較しアライメントするプラグラムも役立つ。さらにまた、欧州バイオインフォマティクス研究所のDaliサーバによって、タンパク質配列の構造をベースとしたアライメント(Holm, 1993, J. of Mol. Biology, 233: 123-38;Holm, 1995, Trends in Biochemical Sciences, 20: 478-480;Holm, 1998, Nucleic Acid Research, 26: 316-9)が提供される。] [0045] 例えば、ヌクレオチド配列同一性は、ウィスコンシン大学から届けられる、Genetics Computer Group(GCG)のBestFitプログラムVersion10 Softwareを用いて測定することができる。このプログラムは、デフォルト値:ギャップ・クリエーション・ペナルティ=50,ギャップ・エクステンション・ペナルティ=3,アベレージ・マッチ=10,000,アベレージ・ミスマッチ=−9.000を有する、スミスとウォーターマンの局所相同アルゴリズムを用いる。] [0046] 本発明による核酸配列は、配列番号1と少なくとも85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%または99%の配列同一性を示すことができ、このような配列は、好ましくは、BE−14106分子の生合成に関与するタンパク質の一部もしくは全部をコードする配列をコードするか、または該配列と相補的であるだろう。本明細書で定義する配列同一性(%)の基準を満たすヌクレオチド配列は、「実質的に同一の」配列と考えてもよい。] [0047] 本発明のさらなる態様は、本明細書で定義されるように、本発明の核酸分子にコードされるポリペプチドを提供する。] [0048] 上記のとおり、配列番号1はいくつかのタンパク質またはポリペプチドをコードし、本発明のこの態様自体が、下記(a),(b): (a)配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つ以上で示されるアミノ酸配列の全部または一部; あるいは (b)配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つ以上と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列の全部または一部 を含むポリペプチドを提供する。] [0049] 特に、このアミノ酸配列は、配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つのポリペプチドと少なくとも80%,85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%または99%の同一性を示してもよい。あるいは、このアミノ酸配列は、配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つのポリペプチドと少なくとも80%,85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%または99%の類似性を示してもよい。] [0050] 本明細書中の配列同一性または配列類似性(%)の基準を満たすアミノ酸(ポリペプチド)配列は、「実質的に同一である」と考えられる。] [0051] 本発明のポリペプチドは、単離,精製または合成されたポリペプチドであってもよい。「ポリペプチド」という用語は、2以上のアミノ酸からなる任意のアミノ酸配列(すなわち、短いペプチドとより長い長さ(ポリペプチドまたはタンパク質)との両方が含まれる。)を含むよう本明細書で用いられる。] [0052] アミノ酸配列同一性を測定するプログラムは上述されている。例えば、アミノ酸配列同一性または類似性は、ウィスコンシン大学から届けられる、Genetics Computer Group(GCG)のBestFitプログラム Version10 Softwareを用いて測定することができる。このプログラムは、デフォルト値:ギャップ・クリエーション・ペナルティ=−8,ギャップ・エクステンション・ペナルティ=2,アベレージ・マッチ=2.912,アベレージ・ミスマッチ=−2.003を有する、スミスとウォーターマンの局所相同アルゴリズムを用いる。配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つの(または上記のような「実質的に同一の」配列の)アミノ酸配列の「一部」は、少なくとも20の隣接したアミノ酸、好ましくは、少なくとも30,40,50,70,100,150,200,300,400,500,1,000,2,000,5,000もしくは10,000の隣接するアミノ酸を含んでもよい。] [0053] ポリペプチドは(好ましくは、その一部も)、上記の定義に従って、機能的に活性である、例えば、酵素的に活性であるか、あるいはBE−14106もしくはBE−14106の誘導体またはその修飾されたバージョンの生合成における調節または輸送機能活性を有する。このように、この一部は、上記のとおり、活性部位またはドメインまたはモジュールに対応してもまたはそれらを含んでもよい。] [0054] 本発明のヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は特徴付けられており、それらの中の様々な機能的領域は同定されている。このような機能的領域は、本発明の別の態様を形成する。本明細書で定義されるとおり、「一部」は、このように、少なくとも1つのモジュールもしくは酵素ドメイン、または非コードもしくはコードする機能的遺伝因子に対応することが好ましい。下記の表2は、PKS酵素をコードする配列番号1で同定されるORFの翻訳産物と同一な機能的領域を示す。] [0055] ] [0056] ] [0057] ] [0058] ] [0059] ] [0060] ] [0061] ] [0062] BE−14106の生合成の経路は、以下のように解明されており、図2Aおよび2Bに示される。] 図2A [0063] BE−14106の生合成は、タンパク質であるBecA(配列番号5の配列を有し、配列番号4にコードされる)およびBecC(配列番号9の配列を有し、配列番号8にコードされる)による、プロピオネート1個とアセテート2個とのユニットからのC17〜C25のアシル部分の組立により開始される(図2A)。BecCのKRドメインはほぼ失活しており、合成されたポリケチド鎖のC19のカルボニル基はそのままの状態にある。そのアミノアシルスターターの生合成は、不連続なNRPSアデニル化ドメインであるBecL(配列番号21の配列を有し、配列番号20にコードされる)による、グリシンの活性化と、この活性化グリシンの、不連続なペプチジルキャリアタンパク質であるBecS(配列番号19の配列を有し、配列番号18にコードされる)上へのローディングによって続けられる。BecU(配列番号11の配列を有し、配列番号10にコードされる)は、BecCおよびBecSそれぞれの近傍に基質を持ってくることで、BecCのACPとBecSとの間の相互作用を仲介すると考えられる。D−アミノ酸オキシダーゼであるBecIは、おそらくグリシンの酸化的脱アミノ化を触媒しアンモニウムを放出する。これは、C−17カルボニルへの求核攻撃を起こしてC−17イミノ基が生成し、このC−17イミノ基はその後アミノ基まで還元される。後半の還元によって、おそらくアシル鎖が酸化され、二重結合が移動する。チオエステラーゼであるBecQ(配列番号41の配列を有し、配列番号40にコードされる)は、BecC−BecU−BecS複合体からアミノアシル鎖を解放し、その結果アミノアシル−カルボン酸が形成される。アシル−CoAリガーゼと推定されるBecJ(配列番号15の配列を有し、配列番号14にコードされる)は、アデニル化およびそれに続くCoAとの結合によって、得られたアミノアシル−カルボン酸を活性化し、アミノアシル−CoAをアシルトランスフェラーゼであるBecK(配列番号17の配列を有し、配列番号16にコードされる)に受け入れられる基質にすると推測される。不連続なアシルトランスフェラーゼであるBecKは、活性化アミノアシル鎖を、PKSのBecB(配列番号13の配列を有し、配列番号12にコードされる)上モジュール1のACPドメインに運搬する。後半のPKSは、ACPを除いて、モジュール1のすべてのドメインを欠いている(図2Bのローディングモジュール)。BecBのモジュール2および3(図2B中のモジュール1および2)はそれぞれ、アセテート1個とプロピオネート1個とのユニットを用いて、C17からアミノアシル部分を伸長する(C16〜15およびC14〜13)。] 図2A 図2B [0064] 成長鎖はその後、BecD(配列番号29の配列を有し、配列番号28にコードされる)に渡され、さらに伸長し修飾される。BecDはモジュール4および5(図2B中のモジュール3および4)を含み、2個のアセテートのユニットを用いて、この鎖を伸長する(C12〜11およびC10〜9)。] 図2B [0065] この鎖はその後、BecE(配列番号37の配列を有し、配列番号36にコードされる)に渡される。PKSのBecEのモジュール6(図2B中のモジュール5)は、1個のアセテートのユニットを用いてこの鎖を伸長する(C8〜7)。このモジュールのDHドメインが失活しているという事実は、C−9ヒドロキシ基が出現することの原因となっている。(DHドメインは、C末端領域で欠失を含んでおり、その活性を失っていると考えられる)。] 図2B [0066] この鎖はその後、BecF(配列番号35の配列を有し、配列番号34にコードされる)に渡される。PKSのBecFのモジュール7および8(図2B中のモジュール6および7)はそれぞれ、1個のプロピオネート(C6〜5)と1個のアセテート(C4〜3)のユニットを用いてこの鎖を伸長する。] 図2B [0067] この鎖はその後、BecG(配列番号33の配列を有し、配列番号32にコードされる)に渡される。PKSのBecGのモジュール9(図2B中のモジュール8)は、1個のアセテートのユニットを用いてこの鎖を伸長し、BecGのTEドメインは、チオエステル結合の加水分解および完成したアミノ化ポリケチド鎖の、PKSからの解放に関与する。これによって、マクロラクタム環が環化し、おそらく、プロリンイミノペプチダーゼのホモログと推定されるBecP(配列番号31の配列を有し、配列番号30にコードされる)が補助していると思われる。この生合成は、P450モノオキシゲナーゼであるBecO(配列番号27の配列を有し、配列番号26にコードされる)によって完結し、BecOは、8−デオキシBE−14106のC−8をヒドロキシル化する。] 図2B [0068] BE−14106の生合成において、BecT(配列番号39の配列を有し、配列番号38にコードされる)は明確な役割を定義することができない。BecR(配列番号43の配列を有し、配列番号42にコードされる)も、遺伝子失活実験(実施例10)で証明されたように、BE−14106の生合成に関与していない。] [0069] この経路の調節に関与すると考えられるタンパク質として、LuxR型タンパク質であるBecH(配列番号3の配列を有し、配列番号2にコードされる)およびTetR型調節制御因子であるBecM(配列番号23の配列を有し、配列番号22にコードされる)が挙げられる。] [0070] MFS型排出ポンプであるBecN(配列番号25の配列を有し、配列番号24にコードされる)は、BE−14106の排出/抵抗に関与すると考えられる。] [0071] 本発明のヌクレオチド配列は、BE−14106生合成を操作する方法;新しいBE−14106誘導体もしくは類似体あるいはポリケチドがベースとなった新規の分子もしくは構造物または新規のマクロラクタム分子もしくは構造物を合成する方法;および、このような新規ポリケチド分子もしくは構造物または新規マクロラクタム分子もしくは構造物の生合成のための、新規のまたは修飾されたPKS生合成機構を提供する方法などの多くで利用することができる、重要なツールおよび情報を提供する。PKS生合成機構とは、タンパク質の複合体,集積または会合を形成することができる1以上のPKSを含む(例えば、遺伝子群によりコードされている)タンパク質の群を意味し、このタンパク質の群は、ポリケチド合成に機能的であるが、PKS酵素または酵素ドメインの存在のみに限定する必要はなく、例えば、他の酵素的(修飾的等)機能タンパク質や輸送機能タンパク質や調節機能タンパク質などの、他の機能的活性も含むことができる。このように、この遺伝子群にコードされるタンパク質は、いかなる形であれ系内のタンパク質が物理的に関連することを暗示する必要のない、「酵素系」または「酵素複合体」または「タンパク質系」または「タンパク質複合体」として見なすことができる。それらは、BE−14106の生合成機構を構成するという意味において、「機能的に」関連する。あるいは、それらは、「生合成系」または「生合成複合体」または「会合」と称することができる。] [0072] このように、例えば、本明細書で提供されるような、すべてのBE−14106生合成遺伝子群もしくは生合成機構または構成酵素もしくは酵素複合体、あるいはその一部は、修飾を受けることができる。この修飾は、コードされた1以上のタンパク質またはペプチド(例えば、コードされたタンパク質/ペプチドまたは酵素の中の、酵素もしくはモジュール、または酵素ドメイン、あるいは機能的配列など)を修飾するように、遺伝子群の1以上の遺伝子またはORFを修飾することによって起こる。このように、酵素活性は、合成される分子(例えば、ポリケチドやマクロラクタム構造物)に修飾を生じさせるように、変更するまたは失活させることができる。このように修飾されるか、または誘導化されたNRPS−PKS生合成機構は、詳細は後述するが、このように、新規のまたは修飾されたポリケチド部分もしくはマクロラクタム部分を合成するために用いることができる。この状態において、本明細書で提供される、BE−14106生合成遺伝子群または酵素複合体もしくは酵素群、あるいはその断片または一部は、修飾のための「起源」または「テンプレート」または「ソース」系または配列として機能することができる。このように、NRPS−PKS生合成機構は、NRPS−PKS生合成系または「NRPS−PKS系」と見なすことができる。] [0073] 詳細は後述するが、1つの態様として、この遺伝子群はイン・シトゥで修飾されてもよい。換言すれば、BE−14106を産生する微生物に含まれるような内因性の遺伝子群は、例えば、遺伝子置換または遺伝子失活によって修飾されてもよい。このように、微生物内に天然に存在するような野生型の遺伝子群は修飾されてもよい。本発明の核酸分子の組換え型が発現する可能性はある(すなわち、核酸分子を宿主細胞(例えば、異種の宿主細胞)へ導入すること、そして核酸分子を発現し、かつポリケチドまたはマクロラクタム分子を産生することができる条件(すなわち、核酸分子の発現産物がポリケチド/マクロラクタム分子を合成することができる条件)下でその宿主細胞を培養(増殖)すること)が、これはあまり好ましくない。このような組換え発現系において、核酸分子は、宿主細胞に導入され、発現される前に修飾を受けてもよい。] [0074] さらに後述するが、本発明によれば、上記系の(すなわち、遺伝子群またはタンパク質複合体または会合または生合成機構の)機能しない一部(例えば、非コード性の一部などの、非生物学的活性の一部)は、「足場」として利用することができ、そして修飾されないままにしておくこともでき、この機能的な一部(例えば、酵素部分をコードする配列)は、誘導された、または修飾されたNRPS−PKS系を産生するために修飾されてもよい。好ましい態様において、1種または少数の選択された機能的(例えば、酵素的)領域,モジュールまたはドメインが修飾され、残りの配列または構造の大部分は修飾されないままである。] [0075] 合成のまたは組換え型のポリケチドシンターゼや他の酵素およびそのような酵素を含む複合体または系、あるいは生合成機構の他のタンパク質(すなわち、BE−14106の生合成遺伝子群にコードされる少なくとも1つのタンパク質の特性を変えるために修飾されるBE−14106の生合成遺伝子群にコードされる足場に由来する酵素もしくはタンパク質または複合体あるいは系)は、本発明の範囲内に包含される。] [0076] 例えば、このような修飾は、他のモジュール型酵素に由来する1以上の機能的ユニット(例えば、モジュールもしくはドメインまたは全遺伝子/ORFさえも)をコードする配列を含むべきである。あるいは、このような修飾は、BE−14106の生合成遺伝子群に由来する1以上の機能的ユニットをコードする配列を導入すべきであるが、該生合成遺伝子群は、天然に存在する配列の異なった位置で見出されるものである。この修飾も、BE−14106の生合成機構の、コードされたドメイン,モジュール,酵素または他の機能的ユニットの失活または欠失をもたらす修飾であり得る。] [0077] このような機能的ユニットは、触媒でもあっても、輸送または調節タンパク質ドメインであってもよい。この操作を実施するために用いられる配列は、本発明の核酸分子からのものであってもよく、また、ドメインをコードしている適切な配列は、他のポリケチドを合成する酵素,ペプチドを合成する酵素,ハイブリッドのペプチドポリケチドを合成する酵素,脂肪酸を合成する酵素もしくは当該分野に公知の他の酵素ドメインをコードするヌクレオチド分子に由来するものであってもよい。] [0078] このように、極めて一般的な意味で、本発明は、修飾されたBE−14106の生合成遺伝子群,コードされた生合成機構(またはタンパク質系)およびそれから合成される結果生じる修飾された分子の調製における、本明細書で定義されるような、本発明の核酸分子の使用を提供する。] [0079] ランダムな,直接的な,または計画的なやり方で、例えば、前もって決定されるか、もしくは設計された特定の構造物を得て試験するために、または、例えばスクリーニング等のために、ランダムな分子(例えばポリケチド構造物のライブラリ)を創出するために、本発明に従ったこの方法で、本発明の核酸分子のヌクレオチド配列を利用してもよい。] [0080] 修飾されたBE−14106分子またはBE−14106誘導体とは、BE−14106の化学構造が、図1に記載の化学構造と関連して変えられることを意味する。このように修飾することによって、BE−14106分子の強度または効能(例えば、細胞毒性または増殖抑制作用)を上げるか下げるかして、BE−14106の機能特性を変更でき、または、例えば、選択毒性,溶解性,薬物動態,細胞性標的に対する親和性やこの化合物の他の特性に影響を及ぼすことができる。] 図1 [0081] あるいは、本明細書に記載の修飾は、BE−14106分子が輸送される方法または調節されるその生合成を変えるために用いることができる。] [0082] このような新規または修飾された生合成的な遺伝子群,構成タンパク質またはタンパク質系を含むコードされた生合成機構,およびそれから合成される結果生じる修飾された分子はそれぞれ、本発明の別の態様を形成する。生合成遺伝子群が導入された細胞,あるいは、この修飾された生合成遺伝子群もしくは修飾されたコード生合成機構からなる細胞か、またはそれらを含む細胞もまた、本発明の一部として包含される。] [0083] 修飾できる遺伝子または遺伝因子として、実際のPKS遺伝子もしくはORF(BecA,BecB,BecC,BecD,BecE,BecF,BecGをコードする)または個々のモジュールもしくはそのドメインのみならず、BE−14106の生合成(例えば、BecU,BecI,BecP,BecJ,BecK,BecS,BecL,BecO,BecT,BecQをコードする)および輸送(例えば、BecNをコードする)もしくは調節(例えば、BecH,BecMをコードする)に関与する他の酵素もしくは機能的タンパク質をコードする遺伝子またはORFが挙げられ、これらのすべてが「BE−14106の生合成遺伝子」として集合的に本明細書中で称される。] [0084] 詳細は後述するが、実際のPKS遺伝子に関して、それらは、ポリケチド鎖の構造を決定する様々なデヒドラターゼ活性,レダクターゼ活性およびシンターゼ活性と同様に、スターターユニットの特徴,モジュールの数,伸長ユニット[extender]の特徴を決定するローディングモジュールドメインの特徴を変えるために修飾してもよい。] [0085] このように、例えば、PKS酵素のモジュールの数は増減されてもよい(例えば、PKS酵素の1以上のモジュールは欠失してもよい);PKS酵素のKS,DHおよび/またはKRドメインは、欠失,失活または(例えば、同じPKS遺伝子または他のPKS遺伝子から)導入してもよく、PKS酵素のATドメインは、スターターユニットまたは伸長ユニットに対する特異性を変更するために修飾してもよい;BecA(配列番号4/5)のKSQドメインは、側鎖の一部を構成するスターターユニットの特徴を変更するために修飾(例えば、失活)してもよい。] [0086] BecOのハイドロキシラーゼの特異性を変えることによって、BE−14106(またはその類似体)のC−8以外の炭素原子でのヒドロキシル化を提供することができる。] [0087] 合成された分子の特徴を変えるNRPS酵素またはPKS酵素の修飾に加えて、本発明の核酸分子は、例えば、宿主の範囲を拡張するか、または収率もしくは生産効率を増加させることなどによって、生合成工程を操作するか、または容易にするために利用することもできる。] [0088] 本発明の核酸分子の組換え発現を可能にするため、本発明はまた、例えば、クローニングベクターや発現ベクターなどのベクターを提供し、本発明は、このような分子を含む本発明の核酸分子および宿主細胞も含むものである。しかしながら、上記のとおり、本発明のこの態様はあまり好ましくない。] [0089] 実際には、この修飾は、例えば、酵素活性を失活もしくは修飾するか、またはある活性を導入するよう酵素活性をコードするヌクレオチド配列を変更するために、細胞(本明細書中「宿主細胞」として見なすことができる)内でBE−14106生合成遺伝子群配列をイン・シトゥで操作することによって、有利に実施することができる。内因性の核酸分子(換言すれば、宿主細胞に含まれる核酸分子)に含まれるようなBE−14106の生合成遺伝子群配列(例えば、配列番号1)に導入するのに必要な修飾を有する配列を含む適切な遺伝子構造物を創出することができる。その後、この配列を有するベクター(例えば、プラスミド)を適切な宿主細胞に導入することができる。最終的に、これは、対応する(例えば、内因性の、または天然に存在する)生合成遺伝子群の部分の近くで、相同組換えによって、修飾された配列の(例えば、宿主細胞のゲノム内の)遺伝子群への統合に至る。第二の組換え現象として、遺伝子群の内因性の部分が修正されたバージョンに置換され、ベクターは排除される。] [0090] したがって、その結果修飾された宿主細胞は、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群を含むこととなり、該遺伝子群は、修飾されたBE−14106酵素系をコードする。この修飾されたBE−14106生合成機構は、このように、修飾されたBE−14106分子を合成する。] [0091] 上記のとおり、修飾される遺伝子群は、BE−14106または誘導体を産生する宿主細胞(微生物)中に天然に存在する野生型の遺伝子群であってもよい(故に、野生型の核酸分子または内因性の核酸分子が修飾される)。あまり好ましいことではないが、本発明に依然として包含されているのは、本発明の核酸分子は修飾される前に宿主細胞に導入してもよいことである。あるいは、核酸分子は、修飾された後に宿主細胞に導入してもよい。よって、外因性の核酸分子も、修飾されてもよい。] [0092] 本発明が完全長のBE−14106遺伝子群の配列を提供すると仮定すると、この遺伝子置換の方策は、BE−14106遺伝子群を修飾するのに通常利用されるものである。この方策は、例えば、遺伝子群の一部を欠失させるか,天然もしくは野生型の配列のモジュールに見出された活性を導入するか,または置換するために用いることができる。この方策は、遺伝子群配列の情報を必要とするが、この操作を実施するために宿主細胞から単離される完全な遺伝子群を必ずしも必要としない。] [0093] このように、本発明のさらなる態様は、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(または、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)をコードする核酸分子を調製する方法を提供するものであり、該方法は、該BE−14106のNRPS−PKS生合成機構(または、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)をコードする核酸分子(上記で定義した)を修飾することを含む。] [0094] この核酸分子は、その配列を修飾することによって、修飾され、より具体的には、該核酸分子にコードされる1以上の活性(またはタンパク質)をコードする配列を、導入すること,突然変異すること,欠失すること,置換すること,または失活することによって修飾されてもよい。このように、酵素活性または他の機能的活性をコードする1以上の配列を修飾してもよい。このような修飾によって、天然のもしくは野生型のBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(またはBE−14106のNRPS−PKS系)と比較して機能もしくは活性または特性が変更されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(またはBE−14106のNRPS−PKS系)をコードする核酸分子がもたらされる。このように、この修飾された生合成機構(またはNRPS−PKS系)は、1以上の変更されたか修飾された酵素活性を有していてもよく、天然の(すなわち、修飾されていない)生合成機構(またはNRPS−PKS系)から合成された分子以外の(または、該分子と異なる)分子(例えば、ポリケチドまたはマクロラクタム分子)の合成をもたらしてもよい。あるいは、上記のとおり、生合成機構の修飾は、生合成工程の向上(例えば、収量の増大など)をもたらすことができる。] [0095] 修飾される核酸は、細胞または微生物の中に含まれてもよく、該細胞または該微生物は、修飾された生合成機構で合成されるポリケチド/マクロラクタム分子の産生に用いられる細胞または微生物であってもよい。] [0096] 上記のとおり、修飾される核酸分子が、BE−14106(またはその誘導体)を産生する微生物の中に内因的に(または天然に)存在する核酸分子であると都合良いことがある。このように、本発明の方法は、BE−14106またはその誘導体を産生する細胞または生物(通常、微生物細胞または微生物)の中で、天然核酸分子をイン・シトゥで修飾する(より具体的には、核酸分子の配列を修飾する)ことを含むことができる。核酸分子は、BE−14106生合成遺伝子群もしくはその一部であるか、またはそえらを代表し、それによって、BE−14106生合成機構またはBE−14106のNRPS−PKS系もしくはその一部をコードする核酸分子として見なしてもよい。] [0097] 種々の多くの微生物は、BE−14106を産生することができ、いくつかの微生物は、8−デオキシ誘導体などのような、天然に存在するBE−14106の誘導体を産生することができることも知られている(Takahashiら,上記を参照)。BE−14106遺伝子群もしくは生合成機構(またはNRPS−PKS系など)に言及する場合、BE−14106自体のみならず、8−デオキシ誘導体(GT32−Bと言う)などのような、天然に存在する誘導体も産生する遺伝子群または生合成機構なども含むことが意図される。] [0098] さらに本発明は、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(または修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)を調製する方法を提供するものであり、該方法は、上記のとおり調製される(または得られる)修飾された核酸分子を発現することを含む。これは、単に、上記のとおり細胞の中に含まれる核酸分子を修飾し、修飾された核酸分子が発現する条件下でこの細胞を増殖させることによって、達成することができる。このように、例えば、細胞内の天然核酸分子は、イン・シトゥで修飾することができ、かつこの細胞は増殖することができる。] [0099] 本発明のこの態様は、このような方法によって得られる、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(または修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)も提供することができる。] [0100] 本発明は、修飾されたポリケチドまたは修飾されたマクロラクタム分子を調製する方法も提供するものであり、該方法は、上記のとおり調製される(または得られる)修飾された核酸分子を発現することを含むものである。] [0101] 一般的に言って、核酸分子は、修飾された生合成機構が発現されてもよい条件下で、宿主細胞の中で発現されるだろう。上記のとおり、これは、核酸分子を宿主細胞に導入することで達成することができるが、通常「宿主細胞」は、核酸分子が天然にもしくは内在的に存在し、そして核酸分子が修飾される細胞または生物であろう。宿主細胞は、修飾された核酸分子および生合成機構が発現され得る条件下ならびに生合成機構から産生された分子が合成され得る条件下で、増殖または培養されるだろう。] [0102] このように、核酸分子は、所望する任意の宿主細胞の中で発現されてもよいが、好ましくは、該分子が由来した(もしくは由来するかもしれない)、該(修飾されていない)分子が天然に存在する細胞または微生物の中で発現されるだろう。] [0103] 修飾されたポリケチドまたはマクロラクタム分子を調製する本発明の方法は、例えば、宿主細胞が増殖した培地や宿主細胞から分子を回収する(例えば、単離する、または精製する)さらなる段階を含んでもよい。このように、本発明のこの態様は、このような方法によって得られる、修飾されたポリケチドまたはマクロラクタム分子も提供することができる。] [0104] 本発明のさらなる態様は、このように、先に定義したような方法で得られる、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(もしくは修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)をコードする核酸分子を含む、細胞または微生物も提供する。あるいは、細胞または微生物は、先に定義したような方法で得られる、修飾されたBE−14106のNRPS−PKS生合成機構(もしくは修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系)を含んでいてもよい。] [0105] 本発明の別の態様であるが、あまり好ましくない態様は、上記のとおり、核酸分子を含む宿主細胞も提供するものであり、該分子は、該宿主細胞の中に導入されている。] [0106] 典型的な例として、遺伝子群のこのような操作は、BE−14106もしくは誘導体またはその修飾されたバージョンのC−2,3,4,7,11,13,15,17,21および23のいずれか1以上の位置でヒドロキシル基が導入される、修飾されたBE−14106分子を生成する目的で実施することができると想定される。これは、BE−14106生合成遺伝子群のDHドメインを適切に失活または欠失することで達成することができる。本願明細書で提唱される生合成経路によれば、以下のように修飾されるはずである:] [0107] ] [0108] 加えて、または、その代わりとして、遺伝子群のこのような操作は、BE−14106もしくは誘導体またはその修飾されたバージョンのC−2,3,4,7,9,11,13,15,17,21および23のいずれか1以上の位置でオキソ(ケト)基が導入される、修飾されたBE−14106分子を生成する目的で実施することができると想定される。これは、BE−14106生合成遺伝子群のKRドメインを適切に失活または欠失することで達成することができる。本願明細書で提唱される生合成経路によれば、以下のように修飾されるはずである:] [0109] ] [0110] このように、本発明のさらなる態様は、BE−14106生合成経路の遺伝子/タンパク質を修飾することによって産生することができるBE−14106の類似体を提供する。本発明のBE−14106類似体としては、8−デオキシBE−14106、3−,5−,7−,11−,13−,15−,17もしくは23−ヒドロキシBE−14106および3−,5−,7−,9−,11−,13−,15−,17−もしくは23−オキソBE−14106またはこれらの組合せからなる群のいずれか1以上から選択される修飾を含む分子が挙げられるが、これに限定されるものではない。表5に、本発明のこのようなBE−14106類似体の代表的なものを抽出し、その構造と、該類似体を生成するのに失活を必要とするモジュールとを示す。] [0111] ] [0112] ] [0113] ] [0114] 上記修飾に加えて、またはそれに代わるものとして、C20〜C25の側鎖は、PKSのBecAモジュールすべてをコードするbecAにおいて、DNA領域を欠失させることによって短くすることができる。あるいは、BecAの1以上の分子は、その側鎖を短くするために欠失してもよい。例えば、BecAの1個のモジュールすべてを欠失させると、その側鎖を短くすることができる。] [0115] 上記修飾に加えて、またはそれに代わるものとして、PKSの(例えば、BecA,BecB,BecD,BecE,BecF,BecGの)モジュールの1以上は、より少ない員(例えば、18−,16−,14−,12−,10−および8−員環)を有するマクロラクタム環を有する類似体を産生するために欠失することができる。] [0116] 上で記載または表にした他の修飾に加えて、またはそれに代わるものとして、表5に示すように、BecOは、8位のヒドロキシル基を取り除くために失活または欠失することができる。] [0117] 上記修飾に加えて、またはそれに代わるものとしてなされてもよいさらなる修飾として、分子の安定性を増す(例えば、BE−14106の−N−C=O結合がペプチド結合と似ていることからBE−14106が受け易いと思われるプロテアーゼ分解に備える)ための、BE−14106のC−1カルボニルのチオカルボニル(C=S)またはカルボキサミド(C=NH)への置換;BE−14106または修飾されたBE−14106分子の、例えば、単糖部分でのグリコシル化;遊離のヒドロキシル基のアシル化およびBE−14106の側鎖にあるC21〜C22二重結合の還元が挙げられる。] [0118] 調節タンパクは、合成された分子(例えば、BE−14106またはその誘導体もしくは類似体)の産生を増加させるために過剰発現することができる。] [0119] このように、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群を産生する方法が提供され、この方法において、上述した修飾の1以上が、本明細書で定義されるような本発明の核酸分子になされる。該修飾は、本発明の核酸分子を内因的に含む宿主細胞の遺伝子置換を実施することによって都合良くなされてもよい。] [0120] 「遺伝子置換」とは、本発明の核酸分子中に見出されるような遺伝子もしくはORFまたはその一部(例えば、モジュール,ドメインまたは他の機能的なユニット)が、その修飾されたバージョンで効率的に置換または交換される任意の方法を意味する。この修正されたバージョンは、遺伝子もしくはORFまたはその一部(例えば、タンパク質もしくはペプチドまたはそのドメインもしくはモジュールをコードする配列)を変化するかまたは変更する(例えば、1以上のヌクレオチド残基を置換,欠失または挿入することなどによって突然変異する)ものであることができる。このような変化は、コードされたポリペプチドの活性に変化をもたらすことができるが、1以上のタンパク質もしくはポリペプチドまたはそのドメインもしくはモジュールを失活または欠失させる原因となる変化も挙げられる。好ましくは、修正されたバージョンは、該タンパク質もしくはポリペプチドまたはその1以上のモジュールもしくはドメインをコードする配列が失活または欠失したものである。] [0121] この方法が、全部の遺伝子またはORFが物理的に取り除かれ置換されることを必要とするものではなく、むしろ本発明の核酸分子中に見出されるような配列の一部または全部を、その修飾されたバージョンに置換するものである点に留意する必要がある。] [0122] 遺伝子置換は、当該分野において公知の技術に従って実施することができる(例えば、Sekurova ら., 1999 FEMS Microbiol. Lett., 177, 297-304を参照)。] [0123] 本発明の核酸分子を内因的に含む宿主細胞(例えば、微生物)は、該宿主細胞内に存在するBE−14106生合成遺伝子群を変化させるかまたは変更するように、例えば、遺伝子置換などによって、核酸分子が修飾されることが好ましい。本発明の核酸分子が、宿主細胞内に通常見出されるか、または宿主細胞内に天然に存在する場合(すなわち、核酸分子は、宿主細胞の遺伝物質に含まれる)、その宿主細胞は、本発明の核酸分子を内因的に含む。換言すれば、本発明の核酸分子は、例えばプラスミドのような組換えDNA分子に含むかたちで宿主細胞に該分子を導入(例えば、トランスフェクトまたは輸送)しただけでは宿主細胞内に存在するとは言えない。] [0124] 宿主細胞が本発明の核酸分子を含むか否かは、その宿主細胞がBE−14106またはその誘導体を合成することができるかどうか判別することによって確認することができる。その代わりに、または、さらに、宿主細胞中に存在する核酸分子の配列を解析する遺伝子工学を実施することができる(例えば、当該分野において公知である、PCR,サザンブロッティングや他の標準的な技術など)。このような遺伝子工学は、核酸分子が内因的に存在するかどうかを決定するために用いることができる。] [0125] 本発明の方法に用いられる宿主細胞は、所望する任意の細胞または微生物であっても、原核生物または真核生物であってもよいが、通常、微生物、具体的には細菌であろう。より具体的には、宿主細胞は放線菌であるだろう。] [0126] 好ましい宿主細胞として、ストレプトミセス菌株が挙げられ、本発明の核酸分子を内因的に含むストレプトミセス菌株が好ましい。好適な例は、ストレプトミセス菌株のespi−A14106(JP4001179に記載されているようなFERMP−11378)である。遺伝子群がシークエンシングされ、寄託番号DSM21069の下DSMZに寄託されている、上記の新規単離株(分離株MP28−13)が特に好ましい。] [0127] さらに、BE−14106生合成酵素系にコードされる、修飾されたポリペプチドを産生する方法が提供され、上記方法によって得られる、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群が、宿主細胞中で発現される。一旦、適切な修飾が、例えば上記方法によって、BE−14106生合成遺伝子群になされると、修飾されたBE−14106生合成ポリペプチドを産生するために、修飾された遺伝子群からポリペプチドおよびタンパク質が発現できる条件下で、宿主細胞が増殖または培養できる。] [0128] このように、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群を含む、修飾された宿主細胞は、この遺伝子群にコードされたポリペプチドおよびタンパク質を発現することになり、これによって、この遺伝子群にコードされる他のタンパク質と同様に、修飾されたポリペプチドまたはタンパク質の産生に繋がる。1以上の修飾されたポリペプチドまたはタンパク質がこの生合成機構に含まれる結果、BE−14106の生合成機構の特性が変化するだろう。BE−14106生合成遺伝子群になされた修飾の性質に応じて、コードされるポリペプチド,タンパク質および酵素の特性は、それらの野生型と異なることになる。] [0129] BE−14106生合成機構を細胞中に産生することで、大部分の目的にとって、充分であろう。あるいは、BE−14106生合成機構を形成するタンパク質は、そのタンパク質が発現された細胞から精製することができる。] [0130] 本発明のさらなる態様は、上記のとおり修飾された、本発明の核酸分子にコードされるポリペプチドを提供する。] [0131] 修飾されたBE−14106分子を産生する方法も提供される。この方法によれば、上記方法により得られる、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群が、宿主細胞内で発現される。上記方法で得られる、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群が存在する宿主細胞を、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群にコードされるポリペプチド,タンパク質および酵素が発現できる条件下で増殖または培養することによって達成される。このように、この細胞は、修飾されたBE−14106分子を生合成するために必要な生合成機構を含むことになり、この分子は確実に合成されるだろう。] [0132] この方法は、修飾されたBE−14106分子を回収する、例えば、単離する、または精製する段階をさらに含むことができる。適切な場合これが輸送または分泌された細胞培地から、さもなければ、それが含まれる宿主細胞から、これは単離または精製できる。このように、例えば、産生微生物である細胞を、例えば遠心分離によって、採取してもよく、例えば有機溶媒(メタノールや他のアルコールなど)を用いて、抽出してもよい。この分子は、例えば遠心分離によって、このような抽出物から回収することができる。このようにして得られる粗生成物をさらに精製するには、例えば、クロマトグラフィ(HPLCなど)が挙げられる。] [0133] 上記原理に従って本発明の実施を可能にするためには、本発明は、本明細書に定義されている核酸分子を含む宿主細胞、より具体的には、上記のとおりに修飾された本発明の核酸分子を含む細胞も提供する。] [0134] 一般に、本発明の方法は、本発明の核酸分子を含む任意の宿主細胞、好ましくはこの分子を内因的に含む宿主細胞に実施することができる。上記のとおり、好ましい宿主細胞として、ストレプトミセス種の細胞が挙げられる。より好ましい細胞は、表6に示すように、抗生物質に抵抗性および感受性を示す特徴を有するストレプトミセス細胞である。] [0135] 極めて好ましい態様において、本発明の方法は、BE−14106またはその誘導体を産生する、寄託番号DSM21069の下でDSMZに寄託された新規菌株であるストレプトミセスMP28−13またはその変異体もしくは修飾株を用いて実施される。] [0136] このように、本発明は、本明細書に記載した方法で得られる、微生物、具体的には細菌、特にストレプトミセスをさらに提供する。] [0137] 本発明の重要な態様は、BE−14106またはその誘導体を産生する、寄託番号DSMZ 21069の下でDSMZに寄託されたストレプトミセスの菌株、またはその変異体もしくは修飾された菌株も提供する。] [0138] 本発明の方法は、上記の本発明の核酸分子に由来する、核酸分子の誘導体の産生をもたらすように見えるかもしれない。] [0139] 核酸分子の誘導体は、修飾されていない核酸分子が含まれる宿主細胞または微生物の中、イン・シトゥで形成されてもよい。その代わりに、しかし、あまり好ましくないが、核酸分子の誘導体は、核酸分子が導入された宿主細胞中で形成されてもよい。本発明による誘導体または修飾された核酸分子を含む、このように「修飾された」微生物は、例えば、ポリケチドもしくはポリケチドがベースとなった分子またはマクロラクタム分子のライブラリなどのライブラリを形成するために用いることができ、このライブラリのメンバーは、本明細書で提供される、天然に存在するBE−1406系に由来する、修飾されたBE−14106生合成機構またはNRPS−PKS系によって合成される。概して、これらライブラリの多くのメンバーは、それ自体、新規化合物かもしれず、本発明は、これらライブラリの新規メンバー(化合物)をさらに含む。本発明の方法は、このように、個々の化合物の調製を目指してもよい。この化合物は新規であっても新規でなくてもよいが、それを調製する方法は、より簡便なものも許容される。その結果得られた化合物(例えばポリケチド)は、例えば、それをさらに活性な分子に(グリコシル化などによって抗生物質などに)変換するために、さらに修飾してもよい。本発明は、本発明のライブラリをスクリーニングすることによって、所望の活性を有する新規化合物を回収する方法も含む。] [0140] 本発明は、BE−14106のNRPS−PKS遺伝子群により産生されたタンパク質が1以上の点で活性を変更するように、この群が修飾されることによって、ライブラリまたは個々に修飾された型(最終的にはポリケチドがベースとなった分子またはマクロラクタム分子)を提供し、このように、遺伝子群にコードされるNRPS−PKS系の天然物(すなわち、BE−14106)以外の化合物を産生する。このように新規化合物は、この方法を用いて調製することができ、たいていの化合物はより容易に調製できる。天然に存在するBE−14016遺伝子群に由来する種々の遺伝子または遺伝子群の大多数(それぞれが、天然の群から異なる方法で修飾されている)を提供することによって、効率的な化合物のコンビナトリアルライブラリが、これら活性の複数のバリエーションの結果として産生され得る。本発明で用いる、修飾されたNRPS−PKSがコードする配列および生合成機構/系は、このように、天然に存在するBE−14106のNRPS−PKS生合成機構または系に「由来」する、コードする配列および酵素/タンパク質機構または系を表す。] [0141] BE−14016生合成機構に「由来」する生合成機構またはNRPS−PKS系とは、活性を変更するように、少なくとも1つの酵素活性または機能的活性を変異させるか、欠失させるか、失活させるか、または置換させる、生合成機構またはNRPS−PKS系を意味する。これら活性が欠失するか、もしくはこの活性とは異なるバージョンに置換されるか、または単に、天然物以外の化合物(例えば、ポリケチドまたはマクロラクタム)がこれらの総体的な活性から生じるというような方法で突然変異する場合、変更という結果になる。スターターユニットおよび/または伸長ユニット、および/または立体化学、および/または鎖長もしくは環化および/または還元サイクルもしくは脱水サイクルの成果において、そうして得られる変更が、産生された化合物の対応する位置にあったことから、該変更が起こる。欠失された活性が置換される場合、置換された活性の起源は、天然に存在する種々のNRPSもしくはポリケチドシンターゼに対応する活性から、または、同じNRPS−PKS系/機構の異なる領域から来てもよい。] [0142] モジュール型のNRPS−PKSの修飾または操作は、例えば、遺伝子,ドメインもしくはモジュールの欠失などの切り詰め、またはドメイン/遺伝子/モジュールの交換,付加もしくは失活を伴い、挿入または欠失を伴ってもよい。あるいは、ランダム修飾または定方向修飾(すなわち、突然変異)は、選択された部分の核酸配列において(例えば、遺伝子/ドメイン/モジュールなどにおいて)なされてもよい。] [0143] 都合の良いことに、BE−14106機構または系に「由来」する生合成機構またはNRPS−PKS系は、少なくともPKS酵素のNRPSアデニル化ドメインおよび少なくともPKS酵素の2個のモジュールを含み、その結果得られる化合物の性質が変更するように、これら機能的なドメインまたはモジュールの1以上の活性の突然変異,欠失,または置換を任意に含んでもよい。この定義は、タンパク質レベルおよび遺伝子レベルの両方に適用する。特定の好ましい態様は、KS,AT,KRまたはDHが、失活もしくは欠失したか、あるいは種々の機構もしくはPKS/NRPS系からの、または同じ機構もしくはNRPS−PKS系内の他の位置からの、活性のバージョンと置換したものを含む。少なくとも1個の非縮合サイクル酵素活性(例えば、KRもしくはDH)が削除された誘導体、またはこれら活性のいずれかが、合成される最終化合物が変化するように、突然変異した誘導体も好ましい。] [0144] このように、産生されることになる化合物に関して、PKS生合成機構または系を構築するためには5つの自由度が存在する。第一に、ポリケチド鎖長は、機構または系のモジュール数によって決定されることになる。第二に、ポリケチドの炭素骨格の性質は、例えば、マロニル,メチルマロニルやエチルマロニルなどの各位置で伸長ユニットの性質を決定するアシルトランスフェラーゼの特異性によって決定されることになる。第三に、ローディングドメインの特異性は、その結果得られるポリケチドの炭素骨格にも影響を及ぼすことになる。このように、ローディングドメインは、アセチルやプロピオニルなどのような種々のスターターユニットを用いてもよい。第四には、ポリケチドの様々な位置での酸化状態は、モジュールのデヒドラターゼ部分およびレダクターゼ部分によって決定されることになる。これによって、ポリケチドのケトン,アルコール,二重結合または単結合の存在および位置が決定されることになる。] [0145] 最後に、得られるポリケチドの立体化学は、シンターゼの様々な側面の機能である。この第1の態様は、伸長ユニットとしての置換マロニルに関するAT/KS特異性と関連があり、デヒドラターゼによって鏡像異性が除かれるだろうから、還元サイクルが失われている場合にだけ、または、還元サイクルがケトレダクターゼだけを含む場合にだけ、立体化学に影響を及ぼす。第2に、ケトレダクターゼの特異性によって、任意のβ−OHの鏡像異性が決定されるだろう。] [0146] アミノアシル「スターター」の生合成に関与するPKSを修飾することによって、産生される化合物は、変更することができる。] [0147] このように、修飾された機構またはNRPS−PKS系によって、広範囲にわたる化合物を合成することができる。] [0148] 合成される産物の大きさは、モジュール数を変えることによって変化させることができる。] [0149] 修飾された生合成機構のポリケチド/マクロラクタム産物は、抗生物質活性などの活性を呈するかまたは向上させるために、例えば、グリコシル化や他の誘導体化によって、さらに修飾されてもよい。ポリケチドをグリコシル化する方法は、当該分野において一般に公知である;適切なグリコシル化酵素を提供することによって細胞内でグリコシル化してもよく、または化学合成手段を用いてインビトロでグリコシル化してもよい。] [0150] 天然に存在するBE−14016のNRPS−PKS系の様々な誘導体(または類似体)をコードする核酸分子ひいてはポリケチド・マクロラクタムをベースとした様々な化合物をコードする核酸分子を得るためには、酵素活性をコードする部分を「混合し、マッチさせる」ことによって、所望する多くの構造物を得ることができ、天然の宿主の核酸分子/遺伝子群またはその一部に、突然変異を導入することができる。] [0151] 従来技術を用いて天然の配列を突然変異させることができる。突然変異用の基質は、遺伝子のすべての群または遺伝子の1個か2個だけであり得る;突然変異用の基質も、これら遺伝子の1以上の部分であってよい。突然変異させる技術は、当該分野において周知であり、文献に記載されている。このような技術として、突然変異を含む合成オリゴヌクレオチドを調製すること、および制限エンドヌクレアーゼ消化を用いて遺伝子に突然変異した配列を挿入することが挙げられる。あるいは、天然のヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションするミスマッチプライマー(通常15〜30ヌクレオチドの長さ)を用いて、このミスマッチした二本鎖の融点未満の温度で、突然変異させることもできる。このプライマーは、プライマー長と塩基組成とを比較的狭い範囲内に保持し、かつ突然変異の塩基を中央に位置させることで、特異的なものとすることができる。DNAポリメラーゼ,クローン化された産物および突然変異したDNA(プライマー伸長した鎖を分離して得られ、選択されたもの)を含むクローンを用いてプライマー伸長する。この技術は、複数の点突然変異を生成することにも適用できる。PCR突然変異誘起も、所望する突然変異をもたらす利用法として見出されるだろう。] [0152] 宿主遺伝子もしくはORFの酵素活性を置換したり、または宿主遺伝子もしくはORFのこれら領域の突然変異を支援したりという様々な操作をするために用いられるベクターは、得られるコード配列が宿主中で発現してもよいという形で、そのコード配列と動作可能に連結した対照配列を含むように選択することができる。しかしながら、単純なクローニングベクターを用いる方が良い場合もある。] [0153] これから、以下の実施例において、図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。] [0154] 図1は、マクロラクタム抗生物質であるBE−14106の化学構造を示す; 図2Aは、提唱されている、BE−14106の生合成経路の開始を示す; 図2Bは、提唱されている、BE−14106生合成の終了を示す。] 図1 図2A 図2B [0155] 実施例1−分離株MP28−13(ストレプトミセス菌株DSM21069)の特徴付け ISP2寒天成長培地(ディフコ社,USA)上:基質菌糸は淡黄色であり、ISP2寒天プレートと同じ色である。気中菌糸体は白く、胞子もほぼ白くてわずかに緑がかっているだけである。] [0156] SFM寒天成長培地(大豆小麦粉が20g/l;マンニトールが20g/l;寒天が20g/l)上:基質菌糸はISP2上のものよりベージュ色が強く、気中菌糸体および胞子はISP2上のものと同じ色である。] [0157] 増殖はISP2プレート上で2日後に見られるが、胞子形成には約20日かかる。胞子形成は、いずれの培地でもまったく芳しくない。] [0158] 液体培地での増殖:TSB液体成長培地(オキソイド社,UK)中、ガラスビーズ(3mm)とともに225rpmで振盪することでよく増殖する。充分な菌糸体を得るのに、25℃で2日を必要とする。] [0159] この菌株は20℃,25℃および30℃で増殖するが、至適温度は約25℃である。30℃で胞子形成する。] [0160] 菌株DSM21069(分離株MP28−13)の16S RNA遺伝子配列を配列番号46に示す。] [0161] 表6は、菌株DSM21069の抗生物質に対する抵抗性を示す。] [0162] ] [0163] 実施例2−BE−14106生合成遺伝子群用プローブの生成 DNeasy Blood&Tissue Kit(キアゲン社)を用いてDSM21069(MP28−13)から全DNAを単離した。Izumikawaら((2003) Bioorg. Med. Chem., 11, 3401-3405)に記載の縮重したプライマーであるKSMA−F(5’−TSGCS ATG GAC CCS CAG CAG−3’[配列番号47])およびKSMB−R(5’−CC SGTSCC GTG SGC CTC SAC−3’[配列番号48])を用いて、β−ケトアシルシンターゼ(KS)ドメインを増幅した。50μlの反応ミックスに、MP28−13から単離された全DNA(10〜20ng),1×ThermoPol Reaction Buffer(ニュー・イングランド・バイオラボ社),400nMの各プライマー,200μMの各dNTPおよび2.5UのTaq DNA Polymerase(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を含ませた。この反応は、95℃で5分、そして95℃で1分,60℃で1分および72℃で2分の35サイクルの後、最後に72℃で5分伸長させることで実行した。] [0164] この50μlの反応ミックスをゲル電気泳動し、その結果得られた約700bpのDNA断片を、QIAEX II Suspension(キアゲン社)を用いて精製した。精製されたPCR産物は、QIAGENPCRCloning Kit(キアゲン社)を用いて、E.coliであるEZ細胞で、pDriveベクター(キアゲン社)にクローニングした。プラスミドDNAを、Wizard(登録商標)PlusSVMinipreps DNA Purification System(プロメガ社)を用いて形質転換体から単離した。] [0165] QIAGENPCRCloning Handbook(キアゲン社,2001年)に記載のpDriveに特異的なプライマーであるM13フォワード(−20)(5’GTA AAACGA CGG CCA GT 3’[配列番号49])およびM13リバース(5’AAC AGCTATGACCATG 3’[配列番号50])を用いて、8個の組換えプラスミドをシークエンシングした。シークエンシングは、BigDye(登録商標)Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社)を用いて実施した。得られた8個の配列のうち5個は互いに異なるものだった。タンパク質配列に翻訳し、BLASTで検索することによって、すべての配列がI型PKSとマッチすることがわかった(表7を参照)。] [0166] もっとも興味深い配列はno.1,3,6,7および8であった。PKSとマッチしたno.1の配列は、S.ビオラセウスニガー[S. violaceusniger]におけるメリダマイシン[meridamycin]の生合成(Sunら, 2006 Microbiol., 152, 3507-3515)に関与するものであった。no.3,7,8の配列は、S.アトロオリバセウス[S. atroolivaceus]におけるレイナマイシンの生合成に関与するLnmJ(Chengら, 2003 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 3149-3154)とマッチした。no.6の配列は、S.ハルステデイ[S. halstedii]における、マクロラクタムであるビセニスタチン[vicenistatin]の生合成に関係するVinP1(Ogasawaraら, 2004 Chem. & Biol., 11, 79-86)と強くマッチし、またS.アベルミチリス[S. avermitilis]における、マクロライドであるアベルメクチンの生合成に関係するAVES2(Ikedaら, 1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 9509-9514)にも強くマッチした。] [0167] no.6の配列(配列番号51)を、DSM21069(MP28−13)のために構築されたゲノムライブラリをスクリーニングするためのプローブとして選択した。PCRDIG Probe Synthesis Kit(ロシュ・アプライド・サイエンス社)および上記のM13プライマーを用いて、ジゴキシゲニン(DIG)標識プローブを作製した。no.6の配列を含むプラスミドを鋳型として用いた。この反応は、95℃で3分、そして95℃で45秒,44℃で1分および68℃で3分の30サイクルの後、最後に68℃で7分伸長させて実行した。その結果得られたPCR産物をゲル電気泳動し、そのDNA断片を、QIAEX II Suspension(キアゲン社)を用いて精製した。] [0168] ] [0169] 実施例3−接合手順の最適化 DSM21069(MP28−13)菌株を遺伝的に修飾する手順を確立するために、E.coliであるET12567(pSOK804+pUZ8002)(Sekurovaら, 2004, J. Bacteriol., 186, 1345-1354)との接合を、Flettら(1997 FEMS Microbiol. Lett., 155, 223-229)に記載された手順に従って試験した。この手順に対して、いくらか改変した。OD600が0.4〜0.5になるまで、ドナーであるE.coliを増殖させた。MP28−13の新鮮な胞子の懸濁液のみを用い、この胞子懸濁液を2×YTで作製した(Sambrookら, 2000 Molecular cloning: a laboratory manual. Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク, NY)。胞子およびドナー細胞を混合して、遠心分離によりペレット化し、このペレットを極少量に再懸濁して、SFMプレート2枚に塗布した。抗生物質(0.9mg/mlのナリジキシン酸および1.5mg/mlのアプラマイシン)を添加する前に、接合用のプレートを24時間インキュベーションした。インキュベーションする時間およびヒートショックの温度と時間とを、その最適条件を見つけるために変えた。インキュベーション時間を25℃、ヒートショックを50℃で5分間とすることで最良の結果が得られた。] [0170] 実施例4−遺伝子失活実験 pDriveベクターでクローニングされた、DSM21069(MP28−13)菌株のno.6のPKS配列を、BamHIおよびHindIIIの制限酵素を用いてこのプラスミドから切り取り、pSOK201ベクター(Zotchevら, 2000 Microbiol., 146, 611-619)のBamHI/HindIII断片(3.1kb)とライゲーションし、E.coliであるDH5αに形質転換した。制限分析によってこの新しい構造物を確認した後、E.coliであるET12567(pUZ8002)に形質転換した。上記手順に従い接合することによって、この構造物をDSM21069に乗り換えさせた。pSOK201ベクターのBamHI/HindIII断片(3.1kb)は、ストレプトミセスの自律複製に必要とされる遺伝因子を含んでいない。従って、ベクターのこの部分が、DSM21069の染色体DNA断片と高いレベルで相同性を有する断片とライゲーションしなければ、トランス接合体が得られることはない。このような相同性を有すると、ベクター全体がその対応する染色体領域に統合する組換えを可能にしてしまう。このクローン化断片が遺伝子の開始コドンまたは終止コドンを含まない場合、このような統合は、遺伝子破壊に繋がることになり、遺伝子の染色体コピーを効率的に失活させる。] [0171] トランス接合体がたった1つ得られ、それをBE−14106産物であるか解析した。BE−14106産物が観察されなかったことから、no.6の配列がBE−14106生合成遺伝子群に帰属することが確かめられた。] [0172] 実施例5−ゲノムライブラリの構築 メーカーの使用説明書(ストラタジーン社,2005年)に従って、DSM21069のゲノムライブラリを、コスミドベクターであるSuperCos1(ストラタジーン社)に構築した。Kirbyミックス手順(Kieserら, 2000 Practical Streptomyces Genetics, The John Innes Foundation,ノリッジ,イギリス)に従ってDSM21069からゲノムDNAを単離し、MboIで部分的に消化し、XbaI,CIAPおよびBamHIで処理したSuperCos1とライゲーションする前に、脱リン酸化した。ライブラリを構築するために、E.coliであるXL1−BlueMR(ストラタジーン社)を宿主として用いた。] [0173] 実施例6−ゲノムライブラリのスクリーニング このライブラリを、100μg/mlのアンピシリンを含むルリア−ベルターニ(LB)寒天プレート(Corning(登録商標) Low Profile Square BioAssay Dish)に塗布し、プレート1枚当り〜2000個のコロニーが得られた。Genetix QPixII Colony Pickerを用いて2304個のコロニーを選定し、LBブロスを含む96ウェルプレート(ヌンク社)24枚に移した。24枚の96ウェルプレートはReduced Hi+YE培地(各ウェルに120μl)を含んでいる。このウェルプレートを、終夜30℃で振盪(900rpm)してインキュベートした。最終濃度が15%(v/v)になるよう24枚のLBプレートにグリセロールを添加した後、−80℃で保存した。] [0174] Tecan Genesis RSP 200ロボット液体ハンドリングシステムを用いて、24枚のReduced Hi+YEプレートの培養液を384ウェルプレート(ヌンク社)6枚に移した後、Genetix QpixII Colony Pickerを用いて、フィルタに押し付けた(複製として4枚のフィルタに押し付けた)。4枚の複製フィルタを得るために、この方法を4回繰り返した。無菌フード下で20分間このフィルタを乾燥した。] [0175] 10%のSDSで飽和させた3MMワットマン濾紙上にこのフィルタを5分間置くことで培養液を溶解させた。NaOH/Chloride Buffer(1.5MのNaCl,0.5MのNaOH)で飽和させた3MMワットマン濾紙上に10分間置くことでDNAを変性させ、Tris/NaCl Buffer(3MのNaCl,1MのTris−Cl,pH 7.4)で10分間中和させた。最後に、コロニー破片を除去するために、2×SSCP Buffer(2×SSC+0.1%(w/v)のピロリン酸ナトリウム)中に浸し、80℃で2時間乾燥させた。ハイブリダイゼーションを始めるまで、このフィルタを4℃で保存した。DSM21069から得られたプローブを用いて、DIG System(ロシュ・アプライド・サイエンス社)に記載されているように、ハイブリダイゼーションを実施した。フィルタをX線フィルムに曝すことによって、コスミドの候補を3個同定し、−80℃で保存したLBプレート上の、これらに対応する宿主を用いて、再び画線を引くことができた。] [0176] Wizard PlusSVMinipreps DNA Purification System(プロメガ社)を用いて、終夜培養したものからコスミドDNAを単離し、挿入部位の両末端と結合するコスミド領域に合わせて設計したプライマー(SuperCos_forw;5’GGCCGC AAT TAA CCC TCA C3’[配列番号52]およびSuperCos_rev;5’GGC CGC ATA ATA CGA CTC AC3’[配列番号53])を用いて末端シークエンシングした。BigDye(登録商標)Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(アプライドバイオシステムズ社)を用いて、シークエンシングを実施した。結果を表8に示す。] [0177] ] [0178] この結果から、コスミド1が群の一端を、コスミド3がもう一端を含むかもしれないことが示された。末端シークエンシングのためにプライマーを設計し、これらのプライマーを他のコスミドをシークエンシングするために用いて、3個のコスミドが任意の重複配列を含むか見るための試験をした。これらの結果から、コスミド2およびコスミド3は重複するが、コスミド1は、コスミド2および3と一切重複していなかったことがわかった。群の失われた一部のための新しいプローブを増幅するために、コスミド2を末端シークエンシングするフォワードプライマーを設計した。PCRDIG Probe Synthesis Kit(ロシュ・アプライド・サイエンス社)を用いて、コスミド2を鋳型としてジゴキシゲニン(DIG)標識プローブを作製した。この反応は、95℃で5分、そして95℃で1分,60℃で1分および72℃で2分の35サイクルの後、最後に72℃で5分伸長することで実行した。この結果得られたPCR産物をゲル電気泳動し、このDNA断片をQIAEX II Suspension(キアゲン社)を用いて精製した。新しいプローブとハイブリダイゼーションするために複製フィルタの1枚を用いて、新規なコスミドの候補を2個同定した(コスミド4および5)。他のコスミドを用いた、末端シークエンシングおよび中間シークエンシングによる工程を繰り返し、コスミド4がコスミド1および2の両方と重複することがわかった。] [0179] 実施例7−BecA機能の確認 コスミド1〜4に含まれる遺伝子群がBE−14106産生に関与するか確認するために、もう一つの遺伝子失活実験を実施した。コスミド用の1つのプライマー(SuperCos_forw[配列番号52]またはSuperCos_rev[配列番号53])およびKSドメイン用の1つの縮重プライマー(KSMA−F[配列番号47]またはKSMB−R[配列番号48])を用いて、コスミド2および3からPKS断片を増幅した。コスミド2から1.2kbの断片が、コスミド3から3.7kbの断片が得られた。上記のpDriveおよびpSOK201に両方の断片をクローニングし、接合によって得られた構造物をMP28−13内に移した。コスミド2の断片について、トランス接合体は1個しか得られなかった。コスミド3の断片について、いくつかのトランス接合体が得られ、さらなる分析のため6個を選定した。] [0180] ] [0181] コスミドの中間シークエンシングおよび遺伝子失活実験の結果に基づき、コスミド1,2,3および4をシークエンシングした。] [0182] 実施例8−BE−14106の産生,精製および同定 MP28−13の培養 標準的な植菌物の調製 植菌物:ブドウ糖を補充した50mlの修飾TSB培地(表9に組成を示す)を有する振盪フラスコ(250ml,邪魔板付き)に、寒天プレートの胞子を移した。振盪フラスコの剪断力を増すために、3mmのガラスビーズを3g添加した。 培養: この培養物を25℃で3日間、225rpmでインキュベーションした(Infors Multitron振盪培養機,環状運動,振幅2.5cm)。 保存: 15%の濃度となるようにグリセロールを培養物に添加した。この混合物を、凍結用バイアル[cryo vial]に移し、−80℃で保存した。] [0183] 産生のための前培養の調製 植菌物:1.5mlの標準的な植菌物を、ブドウ糖を補充した50mlの修飾TSB培地(表10に組成を示す)および3gの3mmガラスビーズを有する振盪フラスコ(250ml,邪魔板付き)に移した。 培養:この培養物を25℃で2日間、200rpmでインキュベーションした(Infors Multitron振盪培養機,環状運動,振幅2.5cm)。] [0184] 産生培養 植菌物:産生のための前培養物3mlを、ブドウ糖を補充した100mlの0.3×BPS培地(表11に組成を示す)および5gの3mmガラスビーズを有する振盪フラスコ(500ml,邪魔板付き)に移した。 培養:この培養物を25℃で2日間、200rpmでインキュベーションした(Infors Multitron振盪培養機,環状運動,振幅2.5cm)。] [0185] 産生に用いる培地の組成] [0186] ] [0187] ] [0188] これら成分を予め加熱した水に加え、培地をオートクレーブする前に10分間膨張させた。オートクレーブ後、pH指示薬としてフェノールレッドを用いる場合にpH=7でオレンジ色が発色するまで、HClまたはNaOHを用いて培地のpHを調整した。] [0189] BE−14106の精製 細胞集団の回収およびホモジナイゼーション 産生培養物中の細胞集団を遠心分離で回収し、凍結乾燥した。凍結乾燥したペレットを、磁鉄ビーズを用いて微細なペレットになるまでホモジナイゼーションした。] [0190] BE−14106の粗精製 凍結乾燥した細胞のペレットを、240mlのメタノ−ル/gで1時間抽出した。剪断力が増すようガラスビーズを添加した。細胞ペレットを遠心分離によって除去した後、不溶物をすべて除去するため濾過した。透明な上澄み液を水に添加し、BE−14106を沈殿させるため、約30分間氷上に置いた。沈殿物を遠心分離して回収して、残留するメタノールを除去するために水で洗浄し、凍結乾燥した。凍結乾燥産物は、粗生成物に相当する。] [0191] 粗生成物の分取用HPLC精製 粗生成物をDMSOに溶解し、逆相カラムで精製した。] [0192] 調製方法:BIOP PREP BE14106_KFD.M HPLC系:分別捕集系[fraction collection system]を有するAgilent 1100シリーズ分取用HPLC カラム:PREP−C18,10μm,50×250mm(PN410910) カラム温度:室温 移動相:10mMの酢酸アンモニウムpH4.0(A)およびメタノール(B)。] [0193] ] [0194] 溶出液フロー:85ml/分 画分を1%の2M NH3溶液に添加し−20℃で保存した。] [0195] 分取用HPLC画分の産物濃度 画分中のメタノールのほとんどを、ロータリ真空エバポレータを用いて50℃で蒸発させた。BE−14106を含む残りの水相を、沈殿収率を上げるために凍結し、沈殿物を遠心分離してペレット化した。このペレットを水で洗浄し、凍結乾燥して、終末産物が得られた。] [0196] 分取用HPLCで精製されたBE14106のLC−DAD−TOF分析 LC−DAD−TOFによる純度の計算 分取用LCによる精製後のBE−14106は、UVおよびTOFデータからわかるように、291nmで吸収する検体に含まれる化合物の>99%を構成することがわかった。汚染物質の吸光係数はBE−14106と同じであるとみなされる。] [0197] BE−14106のTOF−MSデータ TOF−MSによって、精製されたBE−14106のLCTOFプロットが得られる。BE−14106(C27H73NO3)の理論的で正確なm/z(陰イオン)が422.2701であることが、これからわかる。このm/zは、許容し得る精度で観測され、422のピークは、ヘプタエンのUVピークとよく相関する。] [0198] LCTOF方法:BIOP BE14106 SE.M カラム:Zorbax Bonus−RP 2.1×50mm,3.5μm(アジレント・テクノロジー社)。 移動相A: 10mMの酢酸アンモニウム(Riedel−de−Haen Cat#:34674), 移動相B:100%のアセトニトリル特級品(Labscan UN1648) フロー:0.3ml/分 カラム温度: 室温] [0199] ] [0200] TOF−MSパラメータ: API−ESの陰イオン化 乾燥ガス: 10l/分 噴霧器圧: 40psig 乾燥ガス温度: 350℃ キャピラリ電圧: 3000V フラグメンター[fragmentor]:200V 実施例9−DSM21069菌株の抗真菌活性の特徴付け DSM21069菌株が抗真菌活性を産生するか調べた。PM2培地(Bredholtら, 2008, Marine Drugs, 6(1) pp. 12-24)で7日間25℃という条件で増殖させたら、抗真菌活性が強くなった。培養後、培地を乾燥させて、DMSOで抽出した。濾過後、指標生物としてカンジダ・アルビカンスCCUG3943およびC.グラブラタ[C. glabrata]CCUG3942の菌株を用いるロボット・バイオアッセイ手順において、DMSO抽出物を検体として用いた。後者の菌株はポリエン抗生物質に対して高いレベルで抵抗性を有する一方で、C.アルビカンス菌株はポリエンに感受性を有する。このバイオアッセイで用いる培地は、AM19(B)(9.4g/lのペプトン[オキソイド社],4.7g/lの酵母エキス[オキソイド社],2.4g/lの牛肉エキス[ディフコ社],10g/lのブドウ糖[BDH社],蒸留水)であった。] [0201] 興味深い生理活性を有するDMSO抽出物の検体を、ダイオードアレイ検出器(DAD)およびフラクションコレクタを備えたAgilent 1100シリーズHPLC系を用いて分画した。2種類の異なる型のLCカラム:Agilent ZORBAX Eclipse XDB−C18,5um,4.6×150mmおよびAgilent SB−CN 3.5um,4.6×75mmを用いて、各検体を並行して分画した。両方の型のカラムにおいて、脱イオン水およびアセトニトリル中0.005%の蟻酸の混合物1ml/分のフローを、移動相として用いた。いずれの場合においても、最初の1分間はアセトニトリル濃度を40%に保った後、次の9分間は40%から95%まで線形に増加させて、残りのランは95%の濃度に保った。注入から1分後から13分まで、溶出液の12画分を回収するためにフラクションコレクタを用いた。] [0202] この検体をSpeedVac装置(サーモサイエンティフィック社)で乾燥し、DMSOに溶解して、画分の生理活性を測定した(上記の分析)。] [0203] 生理活性を有する画分を、ダイオードアレイ検出器(DAD)および飛行時間(TOF)質量分析計を接続したAgilent 1100シリーズHPLC系を用いて分析した。上記したこの分析において、同じカラムおよび緩衝液を分画段階に用いた。陰の(ESI−)モードでエレクトロスプレーイオン化を実施した。分画した化合物中の生理活性化合物およびLC−MS−TOF分析の生理活性化合物の近似の保持時間を同定するためにDADプロットを用いた。生理活性検体の並行した分画(C18およびCNカラム)から同定した顕著なピークに対応する分子量を比較し、C18カラムおよびCNカラムの画分に共通する分子量を同定した。生理活性を有し、予め特徴付けられた化合物を検索するため、Dictionary of Natural Productsのオンライン版(http://dnp.chemnetbase.com/)にこれらの分子量(10ppmのウィンドウ)を提出した。] [0204] 生理活性画分のLCMS分析において、Antibiotic BE14106に対応する分子量を有する顕著なピークを同定した。LC−MS−TOF分析で観測された分子量は、DNP(正確な分子量423.277344)で得られる分子量の1ppm以内にあった。加えて、これら抽出物のDAD分析結果を、Antibiotic BE14106のUV吸光度スペクトルに係るDNPで得られる情報と比較した。DNPで得られるデータと抽出物から同定された化合物のDAD分析結果とに良好な相関が見られた。] [0205] 実施例10−BecI,BecO,BecR,BecCおよびBecPの機能の特徴付け BE−14106生合成における特定の遺伝子の役割を検証するために、一連の遺伝子失活実験を実施した。上記(実施例7)のとおり、コスミド2および3の、PCRで増幅した断片を用いて遺伝子失活実験も行った。これら断片のシークエンシングおよびBE−14106群との比較によって、これら断片両方が、becA遺伝子の一部、モジュール2のKSおよびATドメインをコードする1.1kb断片およびモジュール2のKS,ATおよびDHドメインをコードする3.7kb断片であることが示された。両方の変異体において、BE−14106が明らかに産生された(表9)。] [0206] 遺伝子失活実験のためのベクターの構築 becI置換ベクター:コスミド2由来のBglII−KpnI断片(3.63kb)を、BamHI−KpnIで消化されたpGEM3Zf(−)にクローニングした結果、構造物であるpBIR1が得られた。この構造物からNruI−FspAI断片(0.8kb)を除去し、この構造物を再度ライゲーションした結果、構造物であるpBIR2が得られた。新しい構造物からEcoRI−HindIII断片(2.86kb)を切り取り、pSOK201由来のEcoRI−HindIII断片(3.11kb)とライゲーションした結果、becI置換ベクターであるpBIR3が得られた。] [0207] becO置置換ベクター:コスミド4由来のSphI断片(14.77kb)を、SphIで消化されたpGEM3Zf(−)にクローニングした結果、構造物であるpBOR1Aが得られた。pBOR1AからSphI−XbaI断片(3.71kb)を切り取り、SphI−XbaIで消化されたpGEM3Zfとライゲーションし、構造物であるpBOR1Bを得た。pBOR1B由来のEcoNI−AgeI断片(6.37kb)の末端を埋めるためにKlenow処理し、再びライゲーションして、構造物であるpBOR2を得た。構造物であるpBOR2からEcoRI−HindIII断片(3.23kb)を切り取り、pSOK201由来のEcoRI−HindIII断片(3.11kb)とライゲーションした結果、becO置換ベクターであるpBOR3が得られた。] [0208] becR置換ベクター:コスミド1由来のHindIII−BamHI断片(4.35kb)を、HindIII−BamHIで消化されたpGEM3Zf(−)にクローニングした結果、構造物であるpBRR1が得られた。pBRR1からSnaBI−BsaBI断片(0.4kb)を除去し、再度ライゲーションした結果、新しい構造物であるpBRR2が得られた。構造物であるpBRR2由来のEcoRI−HindIII断片(3.96kb)を、pSOK201由来のEcoRI−HindIII断片(3.11kb)とライゲーションした結果、becR置換ベクターであるpBRR3が得られた。] [0209] becC置換ベクター:コスミド4由来のBamHI−SacI断片(5.24kb)を、BamHI−SacIで消化されたpGEM3Zf(−)にクローニングし、構造物であるpBCR1が得られた。pBCR1由来のNotI−Acc65I断片(7.48kb)の末端を埋めるためKlenow処理し、ライゲーションして、構造物であるpBCR2を得た。構造物であるpBCR2からEcoRI−HindIII断片(4.33kb)を切り取り、pSOK201由来の3.11kbのEcoRI−HindIII断片とライゲーションした結果、becC置換ベクターであるpBCR3が得られた。] [0210] becP置換ベクター:コスミド4由来のSacI−SphI断片(6.49kb)を、SacI−SphIで消化されたpGEM3Zf(−)にクローニングした結果、構造物であるpBPR1Aが得られた。pBPR1AからHindIII−BclI断片(3.74kb)を切り取り、HindIII−BamHIで消化されたpLITMUS28とライゲーションした結果、構造物であるpBPR1Bが得られた。pBPR1B由来のXmnI−BbvCI断片(5.85kb)の末端を埋めるためにKlenow処理し、再度ライゲーションして、構造物であるpBPR2が得られた。pBPR2由来のEcoRI−ApaI断片(1.82kb)とHindIII−ApaI断片(1.23kb)とを、pSOK201由来のEcoRI−HindIII断片(3.11kb)とライゲーションした結果、becP置換ベクターであるpBPR3が得られた。] [0211] ET12567(pUZ8002)に導入した後、Flettら,1997年(FEMS Microbiol. Lett., 155, pp, 223,-229)に記載の手順に従って、置換ベクターのすべてを、ストレプトミセス種であるDSM21069との接合に用いた。ただし、このドナー細胞をOD600が0.4〜0.5になるまで増殖させ、ヒートショックの時間を5分まで減じた。抗生物質を24時間のインキュベーション後に添加した。] [0212] BecRは、当初、BecAによって作られたC20〜C25アシル側鎖とマクロラクタム環とをともに連結するという役割を果たすと推定されていた。BE−14106を産生するか、発酵抽出物のLC−MSによって変異体(サザンブロット分析によって確認された)を試験した。ΔbecR変異体ではBE−14106の産生に影響されなかったことから、BecRは生合成に関与しないことがわかった。] [0213] BecRの役割に加えて、BE−14106の生合成におけるBecI,BecCおよびBecPの役割についても疑問があり、C−8ヒドロキシラーゼとしてのBecOの示唆される役割について確かめる必要があった。二次的な交差変異体は、上記ベクターを用いて遺伝子すべてから得られ、サザンブロット分析によって確認された。各突然変異株がBE−14106を産生するか、発酵抽出物のLC−MSで試験した。ΔbecO変異体について、示唆される8−デオキシBE−14106の化学量論的式(C27H37NO2)に対応する予想される分子量は、理論的な分子量との違いが1.0ppmであることがわかった。これによって、BecOがBE−14106をヒドロキシル化するP450モノオキシゲナーゼという役割を有することを確認した。C−9のヒドロキシル基は、マクロラクタム環の生合成に関係するPKSのBecEのDHドメイン活性が欠如することによって現れることから、C−8の炭素は、BecOが唯一標的としそうなものに相当する。] [0214] ΔbecI,ΔbecCおよびΔbecP変異体による発酵抽出物のLC−MS分析はすべてBE−14106が完全に産生されないことを示し、推定されるBE−14106類似体/前駆体を確認することができなかった。これは、3個の酵素すべてが生合成の極めて早い時期に機能することを示し、おそらくスターターアミノアシルユニットの合成に関与するものと思われる。] [0215] 実施例11−アミノ酸がBE−14106に取り込まれるか決定する供給研究 15N SilantesOD2培地(Silantes pr.No.103202)に基づく明確な製品の培地を用いて、DSM21069の供給研究を実施した。この培地の組成は、15N Silantes OD2培地536ml/lに、MgSO4×7H2O,0.4;CaCO3,5.0;(15NH4)2SO4,0.54;KH2PO4,0.2およびブドウ糖,10(1リットル当りのグラム数)を加えたものである。この培地に、微量元素液TMS1(Borgosら, 2006, Arch. Microbiol., 185, pp. 165-171)3ml/lを補充した。標識されていないアミノ酸の取り込みは、0.14g/lのD−アスパラギンもしくは0.06g/lのグリシンもしくは0.10g/lのグルタミン酸ナトリウムを添加する、または標識されていないアミノ酸を添加しないことで試験した。上記のとおりに培養した(ただし、プレカルチャーから成分を除去するために植菌前に一度この細胞を産生培養物で洗浄したことを除く。)3%の0.5×TSBプレカルチャーに、産生培養物を植菌した。産生培養物およびプレカルチャーの両方を、上記のとおりに、ガラスビーズを有する邪魔板付き振盪フラスコの中で培養した。]
权利要求:
請求項1 下記(a)〜(e):(a)配列番号1に示されるヌクレオチド配列;または(b)配列番号1の相補体であるヌクレオチド配列;または(c)配列番号1が縮重したヌクレオチド配列;または(d)配列番号1と少なくとも85%の配列同一性(好ましくは、少なくとも87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の配列同一性)を有するヌクレオチド配列;または(e)(a)〜(d)のいずれか1つの一部を含む核酸分子であって、1以上のポリペプチドをコードする核酸分子をコードするか、もしくは、1以上のポリペプチドをコードする核酸分子と相補的であるか;または1以上の遺伝因子を含む核酸分子を含むか、もしくは、1以上の遺伝因子を含む核酸分子と相補的であり、ポリケチドをベースとした分子またはマクロラクタム[macrolactam]分子の合成に機能的な活性を有する、核酸分子。 請求項2 ポリケチドをベースとした分子またはマクロラクタム分子を合成するNRPS−PKS生合成系をコードする請求項1に記載の核酸分子。 請求項3 配列番号2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24、26,28,30,32,34,36,38,40,42もしくは44のいずれか1つで示されるヌクレオチド配列;または該配列と相補的であるヌクレオチド配列、もしくは、該配列が縮重したヌクレオチド配列;あるいは該配列と少なくとも85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む請求項1または2に記載の核酸分子。 請求項4 配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45から選択される1以上のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列;または該ヌクレオチド配列と少なくとも80%(好ましくは、少なくとも85%,97%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%)の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む請求項1または2に記載の核酸分子。 請求項5 請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸分子にコードされるポリペプチド。 請求項6 下記(a),(b):(a)配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つ以上で示されるアミノ酸配列の全部または一部;あるいは(b)配列番号3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31,33,35,37,39,41,43もしくは45のいずれか1つ以上と少なくとも80%の配列同一性(好ましくは、少なくとも80%の配列同一性、85%,87%,90%,91%,92%,93%,94%,95%,96%,97%,98%もしくは99%の同一性)を有するアミノ酸配列の全部または一部を含む請求項5に記載のポリペプチド。 請求項7 修飾されたBE−14106分子を調製するための、修飾されたBE−14106生合成遺伝子群の調製における請求項1〜6のいずれか1項に記載の核酸分子の使用。 請求項8 修飾されたBE−14106のNRPS−PKS系をコードする核酸分子の調製方法であって、該BE−14106のNRPS−PKS系をコードする請求項1〜4のいずれか1項に記載の核酸分子を修飾することを含む、方法。 請求項9 上記核酸分子が、該核酸分子にコードされた1以上の活性またはタンパク質をコードする配列を、導入すること,突然変異すること,欠失すること,置換すること,または失活することによって修飾される請求項8に記載の方法。 請求項10 配列番号2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,38,40,42もしくは44のいずれか1つで示されるヌクレオチド配列;または該配列と相補的であるヌクレオチド配列、もしくは、該配列が縮重したヌクレオチド配列;あるいは該配列と少なくとも85%の配列同一性を有するヌクレオチド配列から選択される1以上のヌクレオチド配列が修飾される請求項8または請求項9に記載の方法。 請求項11 上記核酸分子が、下記(i)〜(vii):(i)PKSをコードする配列の修飾であって、ローディングモジュールのドメインを修飾することで、スターターユニットの特徴を変更する;(ii)PKSをコードする配列の修飾であって、モジュール数を変更する(好ましくは、モジュール数を減少する);(iii)PKSをコードする配列の修飾であって、ATドメインを修飾することで、伸長ユニットに対するその特異性を変更する;(iv)PKSをコードする配列の修飾であって、デヒドラターゼ(DH)ドメインまたはケトレダクターゼ(KR)ドメインの活性を変更する(好ましくは、DHドメインまたはKRドメインを失活または欠失する);(v)ヒドロキシラーゼをコードする配列(becO;配列番号26)の修飾であって、ヒドロキシラーゼ酵素を失活するか、またはその特異性を変更する;(vi)PKSをコードする配列の欠失、またはPKSをコードする配列の修飾であって、このコードされたPKS酵素を失活する;(vii)グリコシル化酵素をコードするヌクレオチド配列の導入のやり方の1以上を用いて修飾される請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。 請求項12 上記核酸分子に対する上記修飾が、下記(i)〜(v):(i)表3に記載の、DHドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または失活;(ii)表4に記載の、KRドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または失活;(iii)becA(配列番号5)またはそのモジュールの欠失または失活;(iv)表2に記載のヌクレオチドの位置で定義される、BecB,BecD,BecE,BecFもしくはBecGのモジュールをコードする1以上のヌクレオチド配列の欠失または失活;(v)becO(配列番号26)の欠失または失活の1以上を含む請求項11に記載の方法。 請求項13 上記核酸分子が、BE−14106またはその誘導体を産生する微生物に内在的に存在し、該微生物中で実施される請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。 請求項14 上記微生物が、BE−14106またはその誘導体を産生する、2008年1月25日にDSMZに寄託したストレプトミセス種(寄託番号DSM21069)またはその突然変異株もしくはその修飾株である、請求項13に記載の方法。 請求項15 請求項8〜14のいずれか1項に従って得られる修飾核酸分子を微生物中で発現させることを含む、修飾されたBE−14016のNRPS−PKS系の調製方法。 請求項16 請求項8〜14のいずれか1項に従って得られる修飾された核酸分子を微生物中で発現させることを含む、ポリペプチドをベースとした分子またはマクロラクタム分子の調製方法。 請求項17 さらに、上記のポリケチドをベースとした分子またはラクタム分子を回収することを含む請求項16に記載の方法。 請求項18 請求項8〜14のいずれか1項に従って得られる修飾された核酸分子を含む微生物。 請求項19 BE−14106またはその誘導体を産生する、DSMZに寄託したストレプトミセスの菌株(寄託番号DSM21069)またはその突然変異体もしくはその修飾された菌株。 請求項20 請求項16に記載の方法によって産生されるか、または得ることができるBE−14106類似体(ただし、BE−14106の8−デオキシ類似体を除く)。 請求項21 3−,5−,7−,11−,13−,15−,17−もしくは23−ヒドロキシBE−14106、3−,5−,7−,9−,11−,13−,15−,17−,もしくは23−オキソBE−14106、または、それらの組合せを含む任意の群の1以上から選択される修飾を含むBE−14106類似体;あるいは3,5,7,11,13,15,17もしくは23の任意の位置でのヒドロキシ基またはオキソ基の導入、あるいは、9の位置でのオキソ基の導入から選択される1以上の修飾との8−デオキシ基の組合せを含む類似体。
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